作物の品質には自信がある。でも今の出荷先だけでよいのか、自分で値段をつけて売る方法も試したい。ネットショップを作ろうとしても、商品ページの前に決めることが見えず、手が止まっていませんか。
結論から言うと、直販は商品を載せる場所だけでは決まりません。誰に何を売り、どう届けるかまでを一つの流れにします。観音山フルーツガーデンの取り組みを手がかりに、小さく試す順番を整理します。
観音山は、作物の特徴に合わせて売り方を広げた
和歌山県紀の川市の観音山フルーツガーデンは、公式サイトで果物や加工品を販売しています。2020年のAGRI PICKのインタビューでは、当時会長として紹介された児玉典男さんが、ネット販売や加工品づくりの経緯を語っています。
その取材で説明されているのは、自社の作物だけで完結する仕組みではありません。地域の農家と協力し、果物の加工や販売にも取り組んだ流れです。「規模を広げずに通販だけで成功した」と単純化できる事例ではないんです。
本人は、加工品づくりを始めた際、原料を他の工場でジュースにし、瓶詰めも専門会社へ頼んだと説明しています。すべての設備を自分で持つ以外にも、商品化の進め方があることを示す話です。
また、発送には向かない完熟の果物を、現地で食べてもらうフルーツパーラーへつなげています。これは2020年取材時点の取り組みです。現在の利益や、どの農家でも再現できる成果を示すものではありません。
最初に選ぶのは「売れる量まで用意できる1品」
直販を試す計画なら、まず商品を一つに絞る方法があります。味に自信があることに加えて、発送できる状態をそろえられるか、説明や写真を用意できるかも見てください。
例えば柑橘なら、家庭用と贈答用で、買う人が気にすることが変わります。家庭用は量や保存方法、贈答用は見た目や届ける時期。同じ作物でも、誰に向けるかで商品説明を組み立て直す必要があります。
「今季は家庭用の一箱だけ」と決めれば、箱の大きさ、写真、説明、発送の手順を合わせて試せます。いきなり全品目を並べる前に、受付から発送まで回せる商品を作りましょう。
価格は、送料と梱包の後に残る分まで見る
販売価格から、作る費用だけを引いて考えないでください。箱と緩衝材、決済や販売の手数料、発送作業、返品や再送への対応もあります。送料を自分で負担するなら、それも含めます。
例えば同じ3,000円の商品でも、送料別か送料込みかで手元に残る金額が変わります。これは計算の例です。自分の地域から、実際の箱で発送する見積もりを取り、販売先の料金と並べてみてください。
梱包に時間がかかりすぎると、収穫が忙しい日に発送が追いつかなくなります。売れた数だけでなく、1箱を用意する時間も測っておくと、受けられる注文数を決めやすくなります。
自社ショップと産直サービスは、条件で選ぶ
自社のショップなら、商品説明や案内を自分で組み立てられます。その一方で、店を知ってもらう方法や、注文後の問い合わせ対応も考える必要があります。
産直サービスを使う場合は、出店条件、手数料、送料、入金時期、購入者情報の扱いを確認します。登録費がかからなくても、販売や発送にかかる費用までなくなるわけではありません。
購入者へ次の商品を案内したい場合も、販売先の規約と、情報を使ってよい範囲を先に確かめてください。同梱チラシや外部の登録先への案内が使えるかは、サービスごとに確認が必要です。
ショップを作る前に、試す商品の量、発送する日、対応する担当者を決めます。販売場所は、その運用に合う条件で選んでいきましょう。
写真と説明には、買う前の不安への答えを入れる
作物の写真だけでは、大きさや個数、届いた後の扱いまで伝わらないことがあります。箱に入った状態、手に持った大きさ、食べ頃の目安など、問い合わせになりそうな点を先に整理してください。
写真は実際に発送する商品に近い条件で撮ります。色や大きさの違い、天候で発送がずれる場合の案内も、できる範囲で説明しておきましょう。良く見せるために、届くものとの違いを隠さないことです。
文章や撮影の作業を外に頼む場合も、収穫時期や品質の判断まで丸投げはできません。作り手が事実を確認し、制作側が伝わる順番に整える。役割を分けると、準備する内容が見えてきます。
まとめ
観音山の事例から考えたいのは、大きな売上の数字を追うことより、作物と届け方を結び付けることです。商品を一つ選び、費用と作業時間を数え、発送まで試す。直販の準備は、そこから具体的にできます。
作物には自信があるけれど、ネットでどう売り始めればよいかわからない。そんなときは、品目と今の売り先、発送できる量を僕に聞かせてください。商品ページを作る前の販売の流れから、一緒に整理します。
ここも気になるかも
今の出荷先をやめないと始められませんか?
最初から全部を切り替える前提にしなくて構いません。既存の取引条件や出荷の約束を確認したうえで、試せる数量があるか整理してください。売れ残りや発送の負担も含めて考えます。
スマホの写真で商品ページを作れますか?
機材名だけで決める必要はありません。色、大きさ、箱の状態が伝わるかを確認してください。買う人が知りたい点をそろえ、実際の商品と差がないかを見直します。
次の収穫の案内は、購入者全員に送っていいですか?
注文時に得た連絡先を、無条件で宣伝に使えるとは考えないでください。利用目的や案内を受け取る意思、販売先の規約を確認し、希望する人へ届ける仕組みを作ります。