お昼のお弁当は売れている。でも、同じ人がまた来てくれているのかは、正直わからない。会計して袋を渡したら、それで終わり。テイクアウトのお店をやっていると、こういう状態になりやすいんですよね。
じゃあ、一度買ってくれた人にもう一度来てもらうには、何をすればいいのか。LINEヤフーが公開している取材記事から3つの事例を選んで、元の記事まで当たって調べてみました。
結論から言うと、テイクアウトの「2回目」を作る道具として、LINE公式アカウントは相性がいいです。川越の焼肉店は、店内営業を休んでいた2020年5月に、持ち帰りと配達だけで前年同月の店舗売上の121%を記録しました。加須の精肉店は、店の周辺に絞った1回の配信で約20万円を売ったことがあります。ただし、どちらも「登録してもらう仕組み」と「買いやすい条件」を先に作っていました。LINEを始めるだけで同じ結果になるわけではありません。
テイクアウトの集客、何が難しいのか
混み合う時間帯のテイクアウトは、注文を受けて、袋に詰めて、会計して、渡すだけで精いっぱい。そんな日もありますよね。そうなると、お客さんと話す時間はほとんど取れません。
受け渡しだけで終わって、連絡先もわからないまま。それだと、気に入ってくれたのか、次にいつ来るのかもわかりません。こちらから「今週はこれがありますよ」と伝える手段もない状態です。
Googleマップにお店の情報を載せておけば、近くで探している人に見つけてもらうきっかけになります。Googleビジネスプロフィールには、最新情報や特典を投稿する機能もあります。ただ、それを目にするのは基本的にお店を調べた人です。一度買ってくれた人にこちらから声をかけるなら、LINEのような連絡手段を組み合わせる。それが僕の考えです。
事例① 焼肉シンラガーデン(埼玉県川越市)店内営業を休んでもLINEで売上を保った
埼玉県川越市の焼肉店「焼肉シンラガーデン」は、2020年4〜5月に店内での営業を休み、持ち帰りと配達だけに切り替えました。コロナ禍で、店内営業の自粛を決めた時期です。
ポイントは、それより前から接客のたびにLINE公式アカウントの友だち追加を案内していたこと。営業の形を変える前から、お客さんとの連絡手段を持っていたわけです。だから切り替えの告知を、そのままLINEで届けられました。
取材記事によると、2020年5月の持ち帰り・配達の売上は、前年同月の店舗売上の121%。焼肉弁当は1カ月で約5,000個売れたそうです。LINEでの告知に加えて、商品を案内するページや特典も用意していました。
僕の見方だと、この事例で大事なのは数字より順番です。困ってから連絡先を集めたのではなく、ふだんの接客の中で集めていた。だから、いざというときに呼びかける相手がいたんです。もちろんコロナ禍という特殊な時期の話なので、LINEだけの効果として切り出すことはできません。
事例② 長沼精肉店(埼玉県加須市)地域を絞った週末の予約販売
埼玉県加須市の長沼精肉店は、2017年12月にLINE公式アカウントを始めました。店頭のショップカードや、通販で使えるクーポンで、友だち追加を少しずつ増やしていったそうです。約3年で友だちは2,600人ほど。けっして大きな数ではありません。
2021年に公開された取材記事では、土日限定の牛肉どんぶりの予約販売が紹介されています。当時の仮店舗の周辺に地域を絞って配信し、100杯限定で予約を受け付けた。早いときは配信から10分で予約枠が埋まり、1回の配信で約20万円の売上になったこともあるそうです。
ただ、毎回10分で埋まったわけではありません。配信が実際に何人に届いたのかも、記事には書かれていない。「友だちが少なくても必ず完売する」という話ではないので、そこは分けて読んでください。
参考にしたいのは、「いつ・どこで・いくつ」をはっきりさせて案内している点です。読んだ人が迷わず予約できる形になっています。
事例③ たんじろうパルウォーク店(北海道北見市)注文の流れに登録を組み込んだ
3つ目はテイクアウトではなく店内飲食の事例です。ただ、考え方はそのまま参考になります。
北海道北見市の焼肉店「たんじろうパルウォーク店」は、LINEの中で使えるモバイルオーダー(スマホで注文できる仕組み)を入れました。使ったのは「funfo」というサービスです。注文のときに、お客さんの同意を得て友だち追加につなげる形にしています。
2025年1月時点で、友だちは1万人を超えました。お店が集計したリピーター率は、2024年1月の19.4%から40%以上になったと報告されています。
このお店は、来店の翌日にアンケートやクーポンを送る取り組みもしていました。登録してもらうことと、登録したあとに何を届けるか。その両方がそろっての数字だと思います。
3つの事例に共通していること
並べてみると、共通点は3つあります。
1つ目は、友だち追加を「ふだんの流れ」の中で案内していること。シンラガーデンは接客、長沼精肉店はショップカードと通販、たんじろうは注文画面です。お客さんと接するいつもの場面に、登録の案内を組み込んでいます。
2つ目は、届ける情報が「買い方」まで具体的なこと。何を、いつ、どこで、いくつ。長沼精肉店の予約販売は、まさにこの形でした。
3つ目は、配信だけで終わらせていないこと。商品の案内ページ、注文の受け付け、特典、アンケート。具体的な仕組みは店ごとに違いますが、配信を読んだ人が次に動ける先が用意されています。
僕はいつも、Webは受け皿で、人を連れてくる力は別に要ると考えています。LINEも同じです。友だちの数だけ増えても、届ける中身と買う場所がなければ、売上にはつながりません。
鹿児島のテイクアウト店で応用するなら
お弁当屋さんや惣菜店なら、始める順番はこうなると思います。
まずGoogleマップの情報を、今の営業に合わせる
Googleビジネスプロフィール(Googleマップや検索に出るお店の情報を管理する無料の仕組み)で、住所、営業時間、電話番号、メニューを確認します。すでにお店の情報が出ているなら、自分が管理者になっているかも見てください。
車で受け取りに来るお客さんが多いなら、駐車場の場所や入口も載せておきたいところです。写真は、お弁当の中身や量がわかるものを選びます。ここが1回目の入口になります。
LINEで何が届くのかを、先に伝える
レジで「LINE登録お願いします」とだけ言われても、お客さんには登録する理由がありません。「週末の限定弁当や予約の受付をLINEでお知らせしています」のように、何が届くのかを一言添えてみてください。混んでいる時間帯なら、QRコードを載せたカードを袋に入れておくだけでも十分です。
配信には「何を、いつ、どう買うか」を全部入れる
商品名、値段、受け取り時間、注文の方法。この4つがそろっていないと、読んだ人はそこで止まってしまいます。「限定」と書くなら、実際の数や期間と合わせてください。
LINEで予約を受けるなら、誰がいつ返信するかも決めておきます。「お店から受付完了の返信が届いたら予約確定です」と書いておくと、行き違いが減ります。予約で名前や電話番号を預かる場合は、何に使うのかを先に決めて、お客さんにも伝えておいてください。
配信したあとは、売上と2回目を分けて見る
ここを見ないと、続けるかどうかの判断ができません。
記録しておきたいのは、配信した日、案内した商品、予約の件数、実際に受け渡した件数です。売上から材料費や容器代、値引き、配信にかかった費用を引いて、利益が残っているかも確かめます。返信や仕込みで増えた手間も、判断材料に入れてください。
固定客が増えているかどうかは、その後の購入を追わないとわかりません。LINEの管理画面で見られる友だち追加の数やブロック(受信を止めた人)の数は、あくまで途中の数字です。Googleビジネスプロフィールで見られるルート検索の数も、来店した人の数ではありません。
配信する曜日や時間も、最初から決め打ちしなくていいと思います。注文の記録を見ながら、自分のお店のお客さんに合うタイミングを探していく。天気や値引きの有無もメモしておくと、配信時間の違いなのか、ほかの理由なのかを見分けやすくなります。
正直に書くと、これを毎週回すのはけっこう大変です。仕込みと接客をしながら、配信文を考えて、予約に返信して、記録をつける。最初の型だけ誰かと一緒に作って、あとは自分たちで回す、という分け方も1つの手です。
まとめ
テイクアウトで僕が一番大事にしたいのは、1回目のお客さんに2回目の買い方を届けることです。Googleマップは見つけてもらう入口で、LINEはもう一度声をかけるための連絡線。その間に、買いやすい条件と、数字を確かめる習慣を置いてください。
お昼は売れるのに、リピーターが増えている実感がない。そんな状況なら、今のGoogleマップの情報とLINEの配信文を見せてください。次の注文までの流れを、一緒に組み立てます。
ここも気になるかも
LINE公式アカウントは無料で始められますか?
無料で始められます。無料のコミュニケーションプランで配信できるのは月200通までです。以前は月1,000通でしたが、2023年6月の料金改定で変わっています。
通数は「配信回数×送った人数」で数えます。100人に月2回送ると、それだけで200通です。友だちが増えてきたら、月5,000円(税別)で5,000通まで送れるライトプランなどを検討してください。追加メッセージの料金は2026年10月1日に改定されているので、契約前に最新の料金表を確認しておくと安心です。
友だちが少ないうちから始める意味はありますか?
あると思います。少ないうちに、案内の文面や予約の受け方を試しておけるからです。ただ、人数が少なくても売れるとは限りません。受け取りに来られる距離にお客さんがいるか、買いたくなる商品かどうかのほうが、先に効いてきます。
お店の近くの人だけに配信できますか?
地域などで配信先を絞る機能はあります。ただし、地域はLINEの利用状況から推定したもので、住所を正確に確かめているわけではありません。絞り込むには、絞り込む前の対象(ターゲットリーチ)が100人以上、絞り込んだあとの推計人数が50人以上という条件もあります。
Googleマップの口コミをお願いしてもいいですか?
実際に買ってくれたお客さんに「よければ感想を書いてください」とお願いすること自体は大丈夫です。ただ、Googleは口コミと引き換えに割引や品物を渡すことを禁止しています。高評価をくれそうな人にだけお願いするのも禁止です。
LINEの友だち追加の特典と、口コミのお願いは混ぜないでください。「口コミを書いてくれたらクーポン」は、Googleの規約に触れます。景品表示法のステルスマーケティング規制(広告だと隠した宣伝の規制)は、これとは別に確認が必要です。