「新規のお客さんは来るんだけど、2回目がなかなか来ない」——居酒屋の方から、この相談をもらうことが本当に多いです。チラシ、食べログ、ぐるなび、いろいろ試してみたけど、結局は一見さんで終わってしまう。そんなとき「LINE公式アカウントやったほうがいいですか?」とよく聞かれます。結論から言うと、居酒屋ほどLINEが効く業種はあんまりないです。今回はリピート率を上げた事例を調べてみました。
居酒屋の集客、何が一番難しいのか
居酒屋の集客で一番しんどいのは、じつは新規を集めることじゃありません。一度来てくれた人に「またここにしよう」と思い出してもらうことです。
飲食店のリピート率は、目安として平均30%前後と言われています。業態や立地で差はありますが、ざっくり言えば初めて来てくれたお客さんの7割は、そのまま戻ってこない計算です。飲食店では、この初回来店から2回目への移行がいちばん大きな壁だとよく言われます。業界では「初回来店客の2回目来店は4割程度、3回目来店は8割程度」という目安が紹介されることもあって、最初の再来店をどう作るかがカギになります。
そして飲食店でも、少数の常連客が売上の大きな割合を支えていることは珍しくありません。いわゆるパレートの法則で説明されることもありますが、ここで大事なのは「常連化したお客さんの価値が大きい」という視点です。つまり居酒屋の利益構造って、新規をたくさん集めるより、2回目・3回目を増やすほうが圧倒的にコスパがいい。ここを外して広告ばっかり回してる店、けっこうあります。
でも「また来てね」と言うだけじゃ来ません。接触が途絶えるから忘れられる。この「忘れられる」を防ぐ仕組みがLINE公式アカウントです。
事例①:海湘丸 厚木本店、地道な声かけで友だち約500人
神奈川の海鮮居酒屋「海湘丸 厚木本店」は、LINE運用を始めて数カ月で友だち約200人、その後約500人まで積み上げた事例です。クーポンの利用は月100回ほど。一気に集めたわけじゃなく、来店してくれたお客さんへの地道な声かけで増やしていきました。
オーダー時に「登録してくれたらクーポン出ますよ」と一声かける。派手なバズではなく、この積み重ねで友だちを伸ばしていった点が参考になります。
友だちに「今週、○○がお得です」と送ると、配信のたびに来店のきっかけが生まれる。チラシでこれをやろうとしたら印刷代と配布費用がかかりますが、LINEなら配信ごとのコストはぐっと抑えられます。しかも紙より届きやすい。
僕の見方だと、ここのすごさは「派手なことをやってない」ところです。来店客に1組ずつ声をかけて、コツコツ友だちを増やす。これを地味に続けられるかどうか。やってることは超シンプルなんです。
事例②:ごちそう村、LINE経由予約が全体の30%・売上効果14倍
関西の飲食店チェーン「ごちそう村」は、LINEから予約できる仕組みを入れたら、全体の予約の約30%がLINE経由になった事例です。同じ費用で比べた売上効果は約14倍と報告されています。
ポイントは、それまではがきやDMで新作メニューや来店促進をやっていたのを、LINEに切り替えたところ。ハガキは印刷代・郵送代・デザイン費でコストがかさむうえに、届いても捨てられる。対してLINEは紙のDMより低コストで、開封率もぐっと高い。
LINE公式アカウントのメッセージ開封率は平均55%前後と言われています。メルマガの平均はおおむね25〜35%前後なので、LINEのほうが届きやすい傾向です。しかも既読率だけじゃなく、クーポン付きのメッセージなら予約や来店に直結する。同じ告知をするなら、コスト構造も反応も紙とはまったく違ってきます。
成功してる事例に共通する3つのポイント
事例を横に並べて見ると、うまくいってる居酒屋には共通点があります。
1. 登録導線を「店内」に作り込んでいる
テーブルのQRコード、メニュー表への差し込み、会計時の「登録で次回ドリンク1杯無料」。来店した瞬間に、スタッフが一声かけて登録してもらう動線がちゃんと設計されています。ここを「チラシにQRコードだけ載せとけばいい」で済ませると、友だちはほぼ増えません。
2. 送る内容が「得する情報」に絞られている
うまくいってない店ほど、新メニュー紹介・日常の投稿・挨拶みたいな「お客さんにとって得にならない情報」を流してブロックされがちです。逆に伸びてる店は、半額フェア・限定クーポン・早割予約など、読んだ人が動きたくなる情報に絞っている。
3. 送る頻度が「多すぎず、少なすぎず」
LINE公式の学習コンテンツでは、まず週1回を基本線として案内しています。僕のクライアントでも飲食店を何軒か見てきましたが、店によっては週2回くらいまで増やしても数字が伸びることはあります。ただ、多すぎるとブロックされ、少なすぎると忘れられる。月2〜4回くらいを目安に、自分の店のお客さんの反応を見ながら調整してみてください。
Webは受け皿です。でも受け皿を作っただけで届く仕組みがなければ、常連客は増えません。LINEは「届ける仕組み」として、居酒屋には本当に相性がいいんです。
ただし、LINEが効く店・効きにくい店があります
ここで一つ正直な話をします。どんな飲食店でも同じようにLINEが効くわけではありません。LINEが特に強いのは、商圏が近くて、再来店のきっかけを作りやすい店です。たとえば居酒屋、焼鳥、海鮮、定食、町中華みたいに「また今度行こう」が起きやすい店ですね。
一方で、記念日利用が中心の高単価店や、旅行客の比率が高い店は、LINE単体でリピートを作る難易度が少し上がります。年に1回しか来ない、価格訴求だけで差別化しづらい、というタイプも同じです。だから大事なのは、「LINEをやるかどうか」ではなく、「自分の店でLINEが刺さる条件があるか」を見極めることなんです。
LINEだけではリピートしません
もう一つ、誤解されやすいので書いておきます。LINEだけでリピートが増えるわけではありません。料理が普通、接客が雑、提供が遅い、会計で待たされる。こういう不満が残っている店は、どれだけクーポンを送っても戻ってきません。
LINEはあくまで「思い出してもらう仕組み」です。また行く理由そのものは、店の体験が作ります。だから順番が大事なんです。商品力と接客力があって、その上にLINEを乗せる。土台がぐらついたままLINEだけ強くしても、穴の空いたバケツに水を注ぐようなものです。まずは店の体験を整える。そのうえでLINEを使うと、効き方が変わります。
鹿児島の居酒屋で応用するなら、最初にやること
鹿児島の居酒屋は、東京や大阪と違って商圏が狭い。だからこそLINEの効き方も変わります。常連客の顔が見える規模感なので、「魚の入荷情報を知らせる」「焼酎の限定入荷を案内する」みたいな配信が刺さりやすい。お客さんの属性やタグで絞り込んだ配信もできます。ただし、これはタグ運用やチャット対応が前提になるので、最初から欲張らず、まずは全体配信に慣れるところから始めてみてください。
最初にやるべきことは3つだけ。
まず、LINE公式アカウントを開設する。これは無料でできます。次に、テーブルPOPとレジ横のQRコードを用意して、「登録で次回生ビール1杯無料」など、登録の見返りを明確にする。ここをケチると友だちが増えません。
そして月2回の配信から始める。内容は「今週の仕入れ」「来週の限定クーポン」の2本柱でいい。凝ったクリエイティブは後回しでいいです。先に「送る習慣」をつくる。
3ヶ月で100人登録してもらえれば、そこから半年で300〜500人は見えてきます。ここまで来れば、配信1本で来店や予約が動く感覚が出てきます。そうなれば、ポータルサイトへの掲載料を見直してもいい段階です。
最初の3ヶ月で何を見ればいいか
じゃあ、始めたあと何を見ればいいのか。最初の3ヶ月で追う数字は多くありません。友だち追加数、配信後のクーポン利用数、LINE経由の予約件数、ブロック率。この4つで十分です。
最初から売上だけを見ると判断を誤ります。まずは「ちゃんと友だちが増えているか」「送った情報で来店や予約が起きているか」を確認してみてください。ここが動いていれば、LINEは機能し始めています。逆にブロック率が高いなら、配信の内容か頻度を見直すサインです。
失敗する店は、だいたい同じパターンです
成功例だけじゃなく、失敗するパターンも知っておいたほうがいいです。LINE運用でつまずく店は、だいたい原因が同じなんです。
登録特典が弱い、店内で声かけしない、配信内容が店の日記になっている、予約や来店につながる導線がない。このどれかです。特に多いのが「アカウントは作ったけど、何を送ればいいかわからず放置」というパターン。LINEは開設より継続のほうが難しいんです。
だから最初から完璧を目指すより、月2本でもいいから「送り続ける設計」を先に作るほうが失敗しません。送る曜日を決めて、ネタは「今週の仕入れ」と「クーポン」で固定する。これくらい割り切ったほうが、結果的に続きます。
まとめ
居酒屋で一番効くのは、結局「忘れられない仕組み」です。LINEは派手なテクニックじゃなくて、地味な接触を積み上げる道具。来店客に一声ずつかけて、コツコツ友だちを増やす。始めるのに大きな投資はいりません。必要なのは、毎日テーブルで一声かける覚悟と、月2本でも送り続ける習慣だけです。
「LINEは始めたほうがいいのはわかるけど、何から手をつければいいかわからない」という居酒屋の方は、まず今の店内オペレーションを見せてください。登録導線をどこに置くか、最初の配信内容をどう設計するか、一緒に考えます。
ここも気になるかも
LINE公式アカウントって、結局いくらかかるの?
LINE公式アカウントは無料で開設できます。ただし、無料のコミュニケーションプランで配信できるのは月200通までです。たとえば友だち500人に一斉配信を1回送るだけで500通になるので、全体配信を本格運用するなら有料プランを前提に考えたほうが現実的です。現在の料金は、コミュニケーションプランが月0円・200通、ライトプランが月5,000円・5,000通、スタンダードプランが月15,000円・30,000通。まずは無料で開設して、友だちが増えて配信が回り始めたら有料に切り替える、という流れがいいと思います。
友だちを増やすのに、一番効率がいい方法は?
来店時の声かけです。SNSで拡散する、チラシで配る、ウェブサイトにQRを貼る——どれもやったほうがいいんですが、一番数字が伸びるのは圧倒的に店内登録。「登録で生ビール1杯無料」「お通し代サービス」みたいな即座に使える特典を用意して、会計前のタイミングで声をかける。この一手で登録率はぐっと変わります。
どれくらいの頻度で送れば嫌われない?
LINE公式の案内では、まず週1回が基本線です。居酒屋なら、そこから様子を見て週2回くらいまでが目安だと思います。毎日送ると確実にブロックされます。逆に月1回以下だと「誰だっけこのアカウント」となって、配信してもクーポンを使ってもらえなくなる。送る日を固定する(毎週木曜の夕方、など)と、お客さんも「お、週末のおすすめ来たな」と待ってくれるようになります。