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地元の水道屋が、高額請求の業者に埋もれないためにできること

たとえば、夜の9時にトイレが詰まった場面を考えてみてください。慌ててスマホで検索して、上のほうに出てきた業者に電話する。そういう動き方は、思い浮かべやすいはずです。

地元で長く続けてきた水道屋さんなのに、その電話がほとんど自社に来ない。腕はあるし、工務店からの仕事は途切れない。でも個人のお客さんからの直接の依頼は少ない。そんな状態になっていませんか。今回は、水道屋さんが個人のお客さんから直接選ばれるために何を整えるかを調べました。

結論から言うと、僕は広告の安さや検索順位だけを追う前に、追加料金の条件と連絡先を整えることを勧めます。料金の条件を先に書いて、困る前に連絡先を残してもらう。地元の業者が手を付けやすいのは、ここだと考えています。

被害にあった人の約6割は、その日のうちに連絡していた

内閣府の消費者委員会が2025年8月にまとめた意見書があります。トイレや水漏れの修理、鍵の交換、害虫駆除など、自宅に来て対処するサービスを「暮らしのレスキューサービス」と呼び、その消費者トラブルを整理したものです。

この意見書によると、レスキューサービスの相談のうち、電子広告に関するものの割合は2014年度に全体の約15%でした。それが2024年度には、確認できただけでも約55%になっています。

あわせて、アンケートも行われています。対象は、5種類のレスキューサービスで不当な請求を受けてお金を払った経験がある700人。トイレや水漏れの修理だけでなく、鍵や害虫駆除なども含めた数字です。業者を知ったきっかけは、スマホでの検索が34.0%、パソコンでの検索が22.4%、ネットのバナー広告などが12.1%でした。

業者に連絡したタイミングは「すぐ」が30.9%、「同日中」が31.3%。約6割がその日のうちに連絡しています。時間帯は午後(12〜18時)が49.7%で最も多く、夜間(18〜24時)も20.7%ありました。

検索を始めてから電話するまで何分かかったかは、この調査ではわかりません。それでも、急いで探す人が多い分野です。検索してきた人が、その場で自社の情報を確かめられるようにしておきたいところです。

被害にあった人が、業者を選んだ理由

同じアンケートでは、その業者を選んだ理由も聞いています(1〜3位に挙げた割合)。「広告で安い金額を提示していたから」が38.6%、「見積り無料との記載があったから」が36.1%、「検索結果の一番上に表示されていたから」が33.4%でした。

安さと、無料と、検索順位。しかも、トラブルに遭う前は「検索結果以外に広告が上位に表示される場合がある」ことを知らなかった人が50.9%いました。

金額の中央値も出ています。広告の金額表示を覚えていた261人の回答で、広告に書かれていた金額が5,000円、想定していた費用が9,000円、実際に請求された金額が20,000円です。意見書には、トイレ修理で「390円から」というネット広告を見て依頼し、55万円を請求された事例も載っていました。

安い表示や検索結果の順位を、選んだ理由に挙げた人が多かったわけです。地元の水道屋さんが表示価格の安さだけで張り合うのは得策ではない、と僕は見ています。表示価格だけでなく、追加料金の条件まで伝えるほうに力を使いたいところです。

もうひとつ、目を留めたい数字があります。トラブルを経験した700人に、今トラブルに遭わないために心がけていることを聞いた設問です。最も多かったのは「事前に事業者の連絡先を確認しておく」で45.9%でした。被害を経験した人の半分近くが、困る前に頼れる連絡先を持っておこうとしているわけです。

ある水道業者が、下請け以外の入口をつくるまで

ここからは、ひとつの事業者の取り組みを紹介します。相見積もりサイト(複数の業者に一度に見積もりを頼めるサイト)を運営するミツモアが、自社サイトで公開している利用者インタビューです。同じ事業者が、屋号の「すまいる住宅設備」と、法人の「株式会社さんわく」の2つの名前で取材されていました。ミツモア上の事業者ページの自己紹介にも、2つの名前が並んでいます。数字は、各記事に本人の発言や編集部の紹介として載っているものです。

東京都で水回りの工事や排水管の洗浄などを手がける杉本さんは、もともと水道設備の会社と業務委託契約を結び、完全歩合制で1社だけから仕事を受けていたそうです。ところが、その会社で売上に関係なく仕事の振り分けが変わり、売上を上げても仕事が減ることが起きた。1社に頼り続けるのは危ないと感じて、ミツモアに登録したと話しています。

おもしろいのは、そのあとの動き方です。取材記事では、複数の会社との業務委託も続けながら、直接お客さんから依頼を受ける入口を足したと説明しています。これまでリピーターや知り合いの紹介が中心だったところに、新しいお客さんとの出会いが加わったそうです。

杉本さんは、水道関係の工事について「お客様と直接つながる機会が少ない業種で、集客方法も限られている」と話しています。これは杉本さん自身の経験からの見方です。

集客を始めるときに、工夫していたこと

Web集客の経験がなかった杉本さんは、自分でも依頼する側としてサイトを使ってみたそうです。どんな返信が業者から届いたら、お客さんは安心するのか。それを自分で体験して探ったそうです。

プロフィールも自分だけで判断せず、友人に「この文章だとどう感じる?」と見てもらいながら作ったとのこと。書いている本人には当たり前すぎて省いてしまう情報が、外から見ると知りたい情報だったりするんですよね。

値付けにも順番がありました。口コミがない間は価格を抑えて、先行投資のつもりで受ける。口コミや実績がある程度たまったところで、価格を上げる。ただし、その間も業務委託の仕事を続けていたので、大きな収益にならなくても困らなかったと本人が話しています。この前提ぬきで、安く始める方法だけを真似するのは危ないと僕は考えています。

2026年6月10日付の記事には、ミツモアで月60件近く成約しているという本人の説明が載っています。7月16日付の記事では、ミツモアの口コミが500件超と紹介され、受ける件数を抑えながら単価を上げる方向に移していたそうです。

この事例と調査から読み取れること

ひとつの事業者の話なので、どの業者にも同じ結果が出るとは言えません。それでも、消費者委員会の調査と並べてみると、参考になる点が3つあります。

1つめ。料金の不安を、聞かれる前に解消している。杉本さんは、蛇口交換なら「追加料金はかかるのか」「この蛇口はつけられるのか」「自分で何を用意すればいいのか」といった不安を、文章や電話から汲み取って1つずつ解消するようにしているそうです。アンケートで被害を受けたと感じた内容(1〜3位に挙げた割合)でも、最も多かったのは、修理はされたものの、はじめの説明や広告から想定していたより高額な請求をされたという回答(37.1%)でした。追加料金の条件を先に伝えることは、この不安に応える準備になると僕は考えています。

2つめ。値付けを、支えのある順番で決めている。口コミがない間は抑えて、たまったら上げる。そして、その間の収入を別の仕事で支えている。なんとなく安くしているわけではありません。

3つめ。技術以外の段取りにも手をかけている。プロフィールの見せ方、返信の中身、作業後のひとこと。水道管の詰まりを直したら、今後どうしたら予防できるかまで伝えているそうです。どれも腕とは別の部分で、明日から見直せる部分でもあります。

この業種で、ホームページやGoogleの情報は「困る前に連絡先を持っておいてもらう場所」だと僕は見ています。冷蔵庫に貼ってあるマグネットと、役割は近いです。

鹿児島の水道業者がやるなら、この順番

事例をそのまま真似する必要はありません。鹿児島でやるなら、僕はこの順番を勧めます。

①Googleビジネスプロフィールを埋める。Googleマップに出るお店の情報です。鹿児島市水道局は「水道局指定工事事業者一覧表」を公開していて、その中の「給水装置等の修繕に対応する指定工事事業者リスト」には、平日・夜間・休日・お盆・年末年始の対応欄があります。夜間や休日に対応しているなら、実際に受けられる時間を確かめたうえで、Googleの営業時間や説明にも同じように書いておいてください。夜に困った人が探しているのは、まさにその情報です。

②料金表と、追加料金がかかる条件を書く。「3,000円〜」のような下限だけで終わらせず、どんな状態なら追加でいくらかかるのかまで書きます。僕なら、作業内容ごとの料金を写真と一緒に載せます。

③口コミをためて、丁寧に返信する。作業が終わったら、口コミ投稿用のURLかQRコードを渡します。満足してくれた人だけを選んで頼むのではなく、作業したお客さんに同じように声をかけるのが基本です。返信を読むのは投稿した本人だけではなく、次に検索してきた人でもあります。

④不動産管理会社や工務店に、対応エリアと緊急連絡先を伝えておく。Webを整えている間にも動かせる手です。

逆に、最初からGoogle広告に大きく予算をかけるのは、僕なら勧めません。やるとしても、②で受け皿ができてから。広告費の上限と、採算が合うかを確かめる基準を決めてから始めます。

まとめ

僕は、表示価格の安さだけでなく、料金の条件をはっきり伝えることを勧めます。まずはGoogleビジネスプロフィールを開いて、営業時間と対応エリアが実態と合っているかを見てみてください。

夜の問い合わせを、ほかの業者に持っていかれている気がする。地元で長く続けてきたのに、名前で呼ばれない。そういう状況なら、今のホームページとGoogleの情報を見せてください。どこで取りこぼしていそうか、一緒に洗い出します。

ここも気になるかも

水道局の指定工事事業者には、うちもなれますか?

指定給水装置工事事業者は、水道法にもとづいて各地の水道事業者(水道局など)が申請を受けて指定する制度です。指定の基準は全国共通で、事業所ごとに国家資格の給水装置工事主任技術者を置くことや、必要な機械器具を備えることなどが条件です。申請の方法は、地元の水道局で確認してみてください。

施工写真は、お客さんの家を撮ることになります。載せていいですか?

撮影と、ホームページなどへの掲載について、作業前にお客さんの了承をもらっておいてください。撮るのは配管や器具まわりだけにして、表札や玄関、室内の私物が写らないようにします。どの写真を、どこまでの地名と一緒に載せるかも、お客さんと確認しておくと安心です。

悪い口コミが付いたら消せますか?

評価が低いというだけでは、基本的に削除の対象になりません。Googleのポリシーに違反する内容なら報告できます。それ以外は、返信で対応します。事実関係を落ち着いて書いて、感情的に反論しない。読んでいるのは投稿者本人だけではなく、次に検索してきた人だと考えると、書き方が決まります。

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