Googleマップの口コミ、もう少し増やしたい。でも、お客さんにどうお願いすればいいのかわからない。特典をつけて頼むのはまずいらしい、と聞いたきり、結局何もしないまま時間だけたっている。お店をやっていて、そんな状態になっていませんか。
結論から言うと、口コミは特典なしで頼んでかまいません。Googleは、実際に利用したお客さんに、評価や内容を指定せずに口コミをお願いすることを認めています。やってはいけないのは、割引や品物と引き換えにすることと、満足してくれそうな人だけを選んで頼むことです。あとは、声のかけ方を店で1つに揃えて、投稿先までの手間をQRコードで短くする。やることはこの2つです。
口コミは、待っているだけだと集まりにくい
いい接客をしていれば、そのうちお客さんが書いてくれる。そう考えて、口コミを待っているお店もあると思います。でも満足してくれたお客さんが、帰ってからGoogleマップを開いて感想を書くとは限りません。書こうと思っていても、そのまま機会を逃すことはありますよね。
だから、お願いすること自体は遠慮しなくていいと僕は考えています。ただし、頼み方には守るべき線があります。そこがあいまいなまま動くと怖いので、先に線を確認しておきます。
割引と高評価を結びつけて処分された事例
2024年6月、消費者庁は医療法人社団祐真会に措置命令(行政からの是正命令)を出しました。運営するマチノマ大森内科クリニックが、インフルエンザワクチンの接種費用を割り引く条件として、Googleマップに星4つか星5つの投稿をしてもらっていた件です。
問題にされたのは、クリニックが関わって書かせた投稿なのに、読む人からはそれがわからない点でした。2023年10月から始まったステルスマーケティング規制(広告だと隠した宣伝の規制)が適用されています。
ここで押さえておきたいのは、処分されたのは「口コミを頼んだこと」ではない、という点です。割引と高評価をセットにして、お店の関与が見えない投稿を作ったことが問題でした。頼むこと自体を怖がる必要はありません。
Googleが禁止していること
法律とは別に、Googleにも口コミのルールがあります。禁止されているのは、主に次のようなことです。
口コミを書いてもらう見返りに、割引や無料サービス、品物を渡すこと。悪い口コミを消してもらう見返りに何かを渡すことも同じ扱いです。それから、満足してくれそうなお客さんだけを選んで頼むこと。Googleは、好意的な口コミだけを選んで募る行為をはっきり禁止しています。
意外と見落としやすいのが、この2つ目です。「今日のお客さん、機嫌がよさそうだから頼んでみよう」。これも、選んで頼んでいることになります。頼むなら、利用してくれた人に同じように声をかける。この形にしておくと迷いません。
声をかける前に、店で決めておく3つのこと
僕がお店と一緒に決めるなら、この3つです。
頼む相手を選ばない
実際に利用してくれたお客さんには、同じように案内する。評価の予想や、その日の雰囲気で相手を変えないことです。
書くかどうか、何を書くかはお客さんに任せる
「星5でお願いします」のような指定はしません。その場でスマホを出してもらって、投稿したかを確認するのもやめておきます。断られたら、そこで終わりです。
スタッフにノルマをつけない
これは気持ちの問題だけではありません。Googleは、スタッフに一定数の口コミを集めるよう求めることも禁止事項に挙げています。「月に何件」という件数のノルマは設けないでください。案内する場面と一言だけ決めて、あとはいつもの接客の中で回す。そのくらいがちょうどいいと思います。
声をかけるのは、利用が終わったあとに短く
飲食店なら会計のとき、美容室なら仕上がりを確認したあと、整体院なら施術が終わって着替えたあと。お客さんが今日の体験を振り返れる場面が、声をかけやすいタイミングです。
言葉はシンプルでいいです。「よかったら、あとで率直な感想を聞かせてください。ここから書けます」。これにQRコードを添えるくらいで十分です。人によって言い方が変わると、うっかり「星5で」のような一言が混ざることもあります。この一言だけは、スタッフ全員で揃えておいてください。
会計のときに言い出しにくいお店なら、領収書やショップカードに同じ案内を載せる方法もあります。「当日中に頼まないと意味がない」と決めつける必要もありません。お店の流れに無理なく入る場所を探してみてください。
QRコードで、投稿先を探す手間をなくす
口頭で「Googleで店名を検索して、口コミのところから書いてください」と伝えるだけだと、お客さんに投稿先を探してもらう手間がかかります。そこで使いたいのが、Googleビジネスプロフィール(Googleマップに出るお店の情報を管理する無料の仕組み)の口コミ用リンクとQRコードです。
作り方は、パソコンのブラウザで自分のお店のプロフィールを開いて、「クチコミを読む」から「クチコミを増やす」に進みます。2026年9月時点では、QRコードの作成はパソコンのブラウザからの操作になっています。Googleは、領収書やお礼のメール、店内の掲示に載せる使い方を案内しています。
作ったら、印刷する前に一度、別のスマホで読み取ってみてください。ちゃんと自分のお店の投稿画面が開くか。店舗を複数管理している場合は、とくに取り違えやすいところです。
LINEやメールで後から頼むときの注意
LINE公式アカウントやメールで、利用後に案内を送る方法もあります。このとき確認してほしいのが、その連絡先の利用目的です。予約の連絡用として預かった連絡先を口コミのお願いに使っていいかどうかは、もらったときに示した利用目的や、その後にお客さんの同意を得ているかで変わります。迷ったら、個人情報保護委員会のQ&Aを確認するか、専門家に聞いてみてください。
始めたあとは、件数だけで判断しない
始める前に、今の口コミの件数と、最近どんな内容が書かれているかを控えておきます。そのうえで月に1回、案内できた回数と、新しく増えた口コミの数、その中身を見てください。
案内しているのに増えないなら、まずQRコードが正しい画面を開くかを確かめて、置き場所や声かけのタイミングも見直してみてください。投稿されてから表示されるまでに時間がかかることもあります。逆に、件数は増えたけど不満の声も出てきた、という場合もあります。口コミは接客の成績表でもあるので、中身まで読むことをおすすめしたいです。
正直に書くと、頼めば必ず件数が増えるとは言えません。書くかどうかはお客さんの自由です。ただ、お願いすることは、書こうと思うきっかけのひとつになります。きっかけを毎回きちんと渡す。お店側でできるのはそこまでです。
まとめ
口コミは、特典なしで頼んでかまいません。守る線は、見返りを渡さないこと、相手を選ばないこと、内容を指定しないこと。そのうえで、声かけの一言を店で揃えて、QRコードで投稿までの手間を短くする。まずはQRコードを作って、レジ横に置くところから始めてみてください。
口コミを頼みたいけど、どこで何と言えばいいのか決めきれない。そんな状況なら、今のGoogleビジネスプロフィールと、お店での案内の流れを見せてください。無理のない頼み方を一緒に考えます。
ここも気になるかも
初めて来たお客さんにも口コミをお願いしていいですか?
大丈夫です。実際に利用してくれた方なら、初回かどうかで分ける必要はありません。大事なのは、評価を予想して相手を選ばないことと、書くかどうかは自由だと伝えることです。
低い評価の口コミは削除してもらえますか?
評価が低いという理由だけでは削除されません。誹謗中傷や、実際の体験に基づかない投稿など、Googleのポリシーに反していると思われる場合は報告できます。ただ、削除するかどうかを決めるのはGoogleです。まずは内容を確認して、事実と今後の対応を短く返信するほうが現実的です。
お願いして書いてもらった口コミは消されませんか?
頼んだという理由だけで消されるわけではありません。Googleが禁止しているのは、特典と引き換えの投稿や、評価を操作する行為、実際の体験に基づかない投稿です。ただ、ルールを守っていても、自動の判定で表示が遅れたり消えたりすることはあります。そこはお店側ではコントロールできない部分です。
返信の中で、お客さんの名前や来店日に触れてもいいですか?
避けたほうが安全です。返信はほかのお客さんにも見えます。来店日や相談の中身、施術の内容など、その人が特定されるような情報は返信に書かないでください。お礼と、ご指摘への対応を簡潔に書くくらいで十分です。