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社内AIを個人任せにしない。まず決めたい入力・ツール・確認のルール

社員が生成AIで文章を整えたり、資料を要約したりしている。でも会社としては、何を入力してよいのか、どのサービスを使ってよいのか決めていない。便利に使い始めた分だけ、判断が個人に残ってしまう状態です。

結論から言うと、まず決めたいのは「入力する情報」「使うツールと契約」「結果を確認する人」です。この3点を入口にして、迷ったときと問題が起きたときの連絡先までそろえます。

個人任せの割合と、実際の利用率は違う

商工中金の2026年1月の調査では、会社として導入せず、使用を個人の判断に任せているという回答が64.9%でした。調査に回答した中小企業の導入状況を示す数字です。

これだけで「社員の約3分の2が使っている」「約3分の2の会社に規程がない」とは言えません。ただ、自社も個人判断のままなら、利用しているサービスと用途を確認するきっかけにはなります。

最初に聞くのは、ツール名、どんな仕事に使うか、どんな情報を入力するか、結果を誰が確認するか。責めるための聞き取りにせず、仕事のどこに使われているかを把握するところから始めてください。

1. 入れてよい情報を、仕事の例で示す

「機密情報は入れない」だけでは、人によって判断が変わります。顧客名や連絡先、未公開の見積もり、契約書、社員の情報など、自社で扱う資料を例にして線を引きましょう。

最初の試行なら、架空のデータや、社外に公開してよいと確認できた文章を使う方法があります。公開されている資料でも、利用条件を無視してよいわけではありません。会社が扱う権利のある情報かも確かめます。

名前だけをイニシャルにしても、案件の内容や日付の組み合わせから相手がわかる場合があります。置き換えさえすれば安全、と決めつけないでください。必要な情報だけに減らし、判断できなければ入力前に担当者へ確認するルールにします。

2. ツール名だけでなく、契約と設定をそろえる

同じサービス名でも、個人契約と法人契約、利用する機能によってデータの扱いが違うことがあります。会社として許可するアカウント、用途、設定をセットで示してください。

例えばChatGPTには、Data controlsというデータ管理の設定があります。公式ヘルプでは「Improve the model for everyone」をオフにすると、新しい会話はモデルの学習に使われないと案内しています。ログイン中の設定は、同じアカウントの端末間で共通です。

ただし、学習に使わない設定と、会話の履歴や保存がなくなることは別です。外部サービスへつなぐ機能を使う場合は、接続先へ渡る情報も確認する必要があります。設定を変えたことだけを、顧客情報を入力してよい理由にしないでください。

許可したサービスの一覧には、確認した日付と管理担当も残します。新しい機能や契約へ切り替えるときは、以前と同じ条件で使えるか見直しましょう。

3. 社外へ出す前の確認担当を決める

AIが作った文章は、読みやすくても内容が正しいとは限りません。金額、日付、固有名詞、出典、相手との約束を原資料と照合します。引用や画像を使う場合は、その利用条件も確認対象です。

「誰かが見たはず」を避けるため、用途ごとに担当を決めてください。顧客メールは担当者、価格の説明は承認者、公開記事は編集担当、というように仕事の流れに組み込みます。

入力する情報を制限していても、出てきた内容が正確になるわけではありません。入力と出力の確認は、それぞれ別の工程として残しておきましょう。

3つの項目だけで、ルールが完成するわけではない

会社の仕事によって、追加する項目があります。外部サービスとの連携、アカウントの権限、退職時の扱い、委託先との取り決め、問題が起きたときの報告先などです。最初の1枚に収めるために、必要な項目を削らないでください。

日本ディープラーニング協会は、生成AIの利用ガイドラインのひな形を公開しています。2023年10月に公開された第1.1版の案内でも、組織の目的に合わせて追加や修正をする使い方を示しています。

ひな形は確認漏れを探す材料になります。自社の機密情報の扱いや既存の契約と食い違わないかを見て、判断が難しい箇所は専門家へ確認してください。配布しただけで現場に伝わるとは限らないため、実際の仕事の例で説明する時間も取ります。

迷ったときと、間違えたときの動きを用意する

「この見積書を要約していいか」と迷ったときの相談先を一つに決めます。回答が遅いと仕事が止まるので、確認中は架空データで試すなど、代わりの進め方も用意しておきましょう。

誤って情報を入力した場合は、何を、どのサービスに、いつ入力したかを管理担当へ報告する流れを決めます。履歴を消しただけで解決したと判断せず、サービス側の扱いと社内の対応を確認してください。

最初のルールで判断に迷った例は、次の見直しに使えます。許可する用途を増やす場合も、誰がどの条件を確認したか残しておくと、個人の判断に戻りにくくなります。

まとめ

AIの社内ルールは、入力する情報、使う環境、確認する担当から具体化できます。そこへ相談と報告の流れを加え、自社の仕事で試しながら見直していく。紙を作ることより、現場で判断できる状態を目指してください。

社員がAIを使い始めたけれど、何を許可すればよいか整理できない。そんなときは、今の用途と扱う資料を僕に聞かせてください。仕事ごとの入力条件と確認の流れを、一緒に整理します。

ここも気になるかも

学習をオフにしたら、顧客情報を入れていいですか?

その設定だけでは判断できません。保存、外部連携、契約上の取り決め、社内の情報区分も確認します。許可された用途と情報の範囲に沿って使ってください。

外注先にも、ルールを伝える必要がありますか?

預けた情報をどのサービスで扱ってよいか、事前に認識をそろえておく必要があります。自社だけのルールで終わらせず、委託先との契約や運用も確認してください。

小さい会社でも、最初から長い規程が必要ですか?

まず判断に使う要点を短くまとめる方法があります。ただし、短ければ十分という意味ではありません。扱う情報や仕事に合わせて必要な項目を加え、既存の社内規程や契約との整合も確かめましょう。

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