バーバーを開いて、腕には自信がある。常連さんもついてきた。でも、店の名前を知らない人にどう見つけてもらえばいいのかがわからない。SNSは女性向けの世界のような気がして、後回しにしている。男性向けの理容室やメンズサロンをやっていて、そんな状態の方に向けて書いています。
結論から言うと、GoogleビジネスプロフィールとInstagramは、役割を分けて使うのが現実的です。Googleマップ側には店の場所、営業時間、料金、予約先といった「探す人が確かめたい情報」を正確に置く。Instagramでは、担当する人の仕事や得意なスタイルを見せて、そこから指名予約まで迷わず進めるようにする。今回調べた2つの店も、この「情報と予約のつなぎ方」を作っていました。ただし、今回確認した資料では、それで新規の指名が何件増えたかまではわかりませんでした。成果は、自分の店で記録して確かめる必要があります。
店が減っているから、残った店が有利とは限らない
厚生労働省の衛生行政報告例によると、全国の理容所は2024年度末で107,995施設。前の年度より2,302施設減っています。
店が減っているなら、残った店にお客さんが流れてくるのでは。そう考えたくなりますが、そう単純でもありません。矢野経済研究所が2026年8月に公表した推計では、2025年度の理美容サロン市場は前年度比1%減で、理容サロンの市場も前年を下回っています。市場そのものが大きくなっているわけではないんです。
だから僕は、発信を増やす前に自分の店の商圏を確かめることをおすすめしています。近くにどんなお客さんがいて、どのメニューを、いくらで、どの時間帯に求めているのか。そして予約が入ったときに、受けられる空き枠とスタッフがいるのか。ここが見えていると、何をどう発信するかが決めやすくなります。
事例① KINGSMAN TOKYO BARBERSHOP 店の情報と予約管理をつないでいた
東京のKINGSMAN TOKYO BARBERSHOPは、代表の吉田奈津樹さんが24歳で独立して始めたバーバーです。公式サイトでは、2026年9月時点で9店舗が案内されています。
厚生労働省が公開している2022年度の取組事例集に、この店の取り組みが載っています。複数店舗のGoogleビジネスプロフィール(Googleマップや検索に出るお店の情報を管理する無料の仕組み)を一括で編集できるようにしたこと。そして、Web予約と顧客カルテを扱うシステムを入れたこと。当時の事例集では、4年間で4店舗を展開して、各店でリピーターの予約が埋まっている状況も紹介されています。
今の公式サイトを見ても、店舗ごとの情報、スタッフの紹介、Web予約、Instagramへの入口がそろっています。参考になるのは、見つけてもらう情報と予約までの道筋がちゃんとつながっている点です。
ただ、「GoogleマップとInstagramで新規の指名が何件増えた」という数字は、今回確認した厚生労働省の事例集と公式サイトには載っていませんでした。店の成長を、この2つだけの成果として読むことはできない。そこは分けて見てください。
事例② LIPPS hair 表参道 スタッフを知ったら、そのまま指名できる
メンズ美容室「LIPPS hair」の表参道店の公式サイトには、スタイリストのイタルさんの紹介ページがあります。そこにはInstagramへのリンク、得意な技術の説明、指名予約の入口が並んでいます。予約が埋まっている場合は、DMか電話で相談してください、という案内もあります。
Instagramで「この人に切ってもらいたい」と思った人が、迷わず指名予約までたどり着ける形になっているわけです。
ただし、LIPPSは美容室なので、バーバーの成果をそのまま示す事例ではありません。イタルさんのInstagramで指名客が何人増えたかも、確認できる資料はありませんでした。「店のアカウントより個人のアカウントのほうが必ず有利」とも言えません。ここで借りたいのは、あくまで導線の作り方です。
2つの店に共通していること
共通しているのは、「知る」から「予約する」までの道が途中で切れていないことです。
Googleマップで店を見つけた人は、営業時間と料金と予約先を確かめたい。Instagramで担当者を知った人は、その人を指名して予約したい。どちらの入口から来ても、次に何をすればいいかがわかるようになっています。発信の量より先に、この道がつながっているかを見る。僕なら、店のWebを見るときにまずここを確認します。
鹿児島の店で始めるなら
来てほしいお客さんを1つ決める
仕事帰りにさっと切りたい人と、週末にじっくりフェードカットを頼みたい人では、気にする営業時間もメニューも違います。まずどちらに来てほしいかを決めて、その人向けの料金、施術時間、担当できるスタッフ、空いている枠を確かめてください。新規の枠がほとんどないなら、発信を増やす前に予約の受け方を見直すほうが先です。
Googleマップの情報を、今の営業に合わせる
店名、住所、営業時間、電話番号、メニューと料金。これを実際の営業と合わせます。臨時休業や料金を変えたときも、忘れずに更新してください。
ひとつ誤解されやすいのが、項目を全部埋めれば検索で上に出る、という話です。Googleは、地図の検索結果の順番を決める主な要素として「関連性・距離・知名度」を挙げています。情報を正確にするのは大前提ですが、埋めたら必ず上位に出るわけではありません。
Instagramは、店と個人で役割を分ける
店のアカウントには、営業時間や料金、予約先など、担当者が変わっても必要な情報を置きます。スタッフ個人の発信では、本人が担当したスタイルや得意な施術を見せる。どちらにも、どこから予約すればいいかをはっきり書いておきます。DMで予約を受けるなら、誰が、いつ返信するかも決めておいてください。
写真と口コミは、始める前にルールを決める
仕上がりの写真を載せるときは、お客さんにどこに載せるのかを伝えて、了承をもらっておくのが安全です。顔が写っていなくても、背景に写り込んだものは確認します。Instagramに載せた写真をGoogleマップにも使うなら、両方に載せることを最初に伝えておくと話が早いです。
口コミは、実際に来てくれたお客さんに偏りなくお願いしてかまいません。ただしGoogleは、割引などの見返りをつけることと、満足してくれそうな人だけを選んで頼むことを禁止しています。低い評価がついたら、まず店の中で事実を確認してから返信します。返信にお客さんの来店内容や個人的なことを書かないようにしてください。
新規指名が増えたかは、予約のときに聞いて記録する
Googleビジネスプロフィールの管理画面では、検索やマップでプロフィールを見た人の数、電話ボタンが押された数、ルートを調べた人の数などを確認できます。ただ、それは予約の件数ではありません。
本当に知りたいのは、新規のお客さんがどこから来たかですよね。なので予約を受けるときに、「どこで店を知りましたか」「どのスタッフを指名しましたか」を毎回同じ聞き方で記録してください。予約フォームなら選択肢を用意して、電話やDMなら受付のときに一言聞く。月ごとに、新規予約の数、そのうち指名の数、実際に来店した数を見ていけば、どの入口が効いているかが少しずつ見えてきます。GoogleマップもInstagramも両方見て来た、という人もいるので、答えはそのまま残しておきます。
まとめ
Googleマップは、店を探している人に基本の情報を届ける場所。Instagramは、切ってくれる人や仕上がりを知ってもらう入口です。調べた2つの店の公式サイトでは、店やスタッフの情報から予約の入口までがつながっていました。新規の指名が増えるかどうかは、店ごとに記録して確かめるしかありません。まずは自分の店をGoogleマップで開いて、営業時間と料金と予約先が合っているかを見てみてください。
腕には自信があるのに新規のお客さんが増えない。そんな状況なら、今のGoogleビジネスプロフィールとInstagramを見せてください。予約までの道のどこで止まっているか、一緒に確かめます。
ここも気になるかも
Googleビジネスプロフィールは本当に無料ですか?
登録は無料です。管理するにはGoogleアカウントと、オーナー確認という本人確認の手続きが必要です。確認の方法はGoogleが店ごとに決めるので、必ずハガキが届くとは限りません。外部の業者に運用を任せる場合や、広告を出す場合は別に費用がかかります。
低い評価の口コミには必ず返信したほうがいいですか?
まずは内容と事実を確認してください。返信するなら、公開の場で書ける範囲で、短く誠実に伝えます。個別の事情は返信欄には書かないほうが安全です。Googleのポリシーに反していると思われる口コミは、Googleに報告することもできます。
スタッフが辞めたら、その人経由の指名はどうなりますか?
個人のアカウントに頼りきっていると、予約先やお客さんとの連絡がわからなくなるおそれがあります。Googleビジネスプロフィールや予約窓口は店で管理して、個人の発信からもそこに進める形にしておくと、引き継ぎやすくなります。アカウントや写真の扱いは、スタッフと前もって決めておいてください。