「広告に月5万円くらい使ってみようと思うんだけど、これって現実的に何ができるんですか?」——この相談、けっこうもらいます。経営者からするとそれなりに大きい金額です。でもWeb広告の世界では「最低ライン」と呼ばれることが多くて、戸惑う方が多いんですよね。
結論から言うと、月5万円は「うまく使えば成果が出る予算」です。ただし条件がいくつかあります。何にいくら使えるのか、現実的な数字で整理します。
月5万円は「足りる予算」なのか
業界の相場から先に言うと、リスティング広告(検索広告)の費用相場は一般的に月20万〜30万円と言われています。代理店も「月20万円から」というところが多いです。それと比べると月5万円は確かに少ない。
ただ「少ないからやめた方がいい」という話ではないです。月5万円はスモールスタートとして十分に成立するラインで、実際にこの金額からテストを始める中小企業はたくさんあります。代理店に頼まず自社で運用するなら、月5万円は最初のスタート予算としては妥当だと僕は思っています。
問題は「5万円で何をやるか」です。これを業種や目的に関係なく一律で考えると、ほぼ確実に失敗します。
CPCで逆算すると、見える数字
広告費を考えるときに、まず押さえてほしいのが「CPC(1クリックあたりの単価)」です。これを知らずに予算だけ決めると、現実とズレます。
Google検索広告のCPCは業種で大きく変わります。業種別の目安としては、Eコマース系は比較的低め、法律・弁護士のように競合が激しい業種は1,000円超、不動産・歯科・リフォームなど競合が多い業種は400〜800円あたりが一つの目安と言われています。
これで月5万円を逆算してみます。1日に直すと約1,645円(5万円÷30.4日)。仮にCPC500円なら月100クリック、1日に換算すると約3クリック。CPC1,000円なら月50クリック、CPC200円なら月250クリック。
そして、Webサイトに来た人のうち問い合わせや予約まで進む割合(CVR:コンバージョン率)が一般的に1〜3%。100クリックで1〜3件、50クリックなら0〜1件。これが現実的なライン。
「思ったより少ないな」と感じた方、正しい感覚です。月5万円は「年間で数件取れたら成功」レベルの予算ではなく、「月に数件の問い合わせを取りに行く」予算です。
業種で結論が変わる
同じ月5万円でも、業種で結果は大きく変わります。
5万円で回りやすい業種は、CPCが低い・商圏が狭い・客単価が低めの業種です。鹿児島で言えば、地域密着型の飲食店、美容室、整骨院、ペットサロン、教室系などはこの予算でも成立しやすい。配信エリアを「鹿児島市内」「半径5km」のように絞れるので、無駄打ちが減ります。
逆に5万円だと厳しい業種もあります。弁護士・税理士などCPCが1,000円を超える業種、全国対応のBtoB商材、住宅・リフォームのような高単価で検討期間が長い商材です。これらは月20万〜30万円ないとデータが溜まらず、判断もできません。
「うちの業種、どっちなんだろう」と迷ったら、Google広告の「キーワードプランナー」を見てください。狙いたいキーワードを入れると入札単価の目安が出ます。これが300〜500円なら月5万円で勝負になる、800円を超えるなら予算を増やすか戦略を変える、というざっくりの判断ができます。
5万円で広告を回すときに選ぶ媒体
広告というとGoogle広告(リスティング)が真っ先に思い浮かびますが、月5万円ならGoogle一択じゃないです。
選択肢は大きく3つあります。1つ目はGoogle検索広告。「鹿児島 美容室」「整骨院 鹿児島市」のように能動的に検索してる人に出せる。すでに困ってる人を捕まえる広告です。
2つ目はMeta広告(InstagramとFacebook)。エリア・年齢・興味を絞って配信できるので、店舗集客とは相性がいい。月5万円でも商圏を絞れば成立します。「まだ知らない人に知ってもらう」広告です。
3つ目はGoogleマップ広告。正確にはGoogle広告側で配信する広告で、Google Business Profileを連携させると検索結果やマップ上に店舗情報つきで広告が出せます。ローカル検索に強くて、店舗ビジネスなら効きます。
5万円の中で1媒体に集中するか、2媒体に分散するか。基本は集中をおすすめします。分散するとデータが溜まらず、どっちも中途半端になります。最初の3ヶ月は1媒体に絞って、データが取れてから次の媒体を試す、の順番がいい。
月5万円を成果につなげる条件
同じ月5万円でも、成果が出る人と出ない人がいます。違いはここです。
1つ目、受け皿が整っているか。広告のリンク先が普通のホームページのトップページだと、ほぼ反応しません。広告専用のLP(ランディングページ)か、最低でも問い合わせ導線が明確な1ページに飛ばす。これがないと何にいくら払っても成果は出ない。
2つ目、コンバージョン計測を入れているか。広告をクリックした人のうち、何人が問い合わせ・予約まで到達したかを計測する設定。これがないと「広告費は使った、でも何が起きたかわからない」状態になります。Googleタグマネージャーで30分あれば設定できます。
3つ目、最低3ヶ月は続けるつもりがあるか。広告は機械学習で最適化されますが、Google広告の自動入札が安定するには月30件以上のコンバージョンが推奨。月5万円だとそこまで届かないことが多いので、マイクロコンバージョン(電話タップ・LINE登録など)を併用しながら、データを溜めていく。1ヶ月で「効果なし」と判断するのは早すぎます。
4つ目、見るべき数字を絞っているか。月5万円で見るべきはCPA(1件の問い合わせを取るのにかかった金額)。これが客単価より安ければ広告は成立してる。高ければ、見直す。シンプルです。
今日からできること
広告を出す前にやってほしいのは、「自分の業界のCPC相場を調べる」ことです。Google広告のキーワードプランナーは無料で使えます。アカウントを作って、狙いたいキーワードを入れるだけ。
「整骨院 鹿児島市」「美容室 鹿児島中央」「税理士 鹿児島」など、自分のお客さんが検索しそうな言葉で見てみてください。表示される入札単価の目安が、現実の数字に近い数字です。
ここで500円以下なら月5万円で勝負になります。1,000円を超えるなら、予算を増やすか、検索広告以外の媒体(MetaやGBP)を考えた方がいい。この一手間で、「なんとなく月5万円」から「根拠のある月5万円」に変わります。
まとめ
月5万円は十分にスタート可能な予算です。ただし、業種・媒体・受け皿の3つが噛み合っていないと、何にいくら使っても結果が出ません。
「とりあえず5万円で広告」と始める前に、CPC相場を調べて、配信先を1つに絞って、計測を入れる。この準備ができていれば、月5万円でも数字は動きます。
気になるところ、まとめて答えます
5万円の予算で広告代理店に頼める?
多くの代理店は月20万円以上が下限です。理由は手数料率(一般的に広告費の20%)で、5万円の20%だと1万円。代理店として人を動かすには採算が合いません。月5万円なら自社で運用するか、初期設定だけスポットで頼んで運用は自分でやるのが現実的です。
キーワードプランナーで出る入札単価と、実際のクリック単価はどれくらい違う?
近い業種・地域で運用してみると、表示される目安より実際は2〜3割安くなることもあれば、逆に高くなることもあります。あくまで目安として見て、最終判断は実際の運用データでする。最初の1ヶ月は「想定の答え合わせ期間」と考えるといいです。
1ヶ月やって成果が出なかったら止めるべき?
1ヶ月で判断するのは早いです。広告の機械学習は2週間〜1ヶ月かけて最適化されます。1ヶ月時点で見るのは「数字が動いているか」だけ。クリックは来ているのにコンバージョンがゼロなら、止めるんじゃなくてLPを見直す。クリックすら来ないなら、キーワードや配信先を見直す。最低3ヶ月は粘って判断するのがおすすめです。
広告を出してるけど効果がよくわからない、これから5万円で始めようか迷ってる、という状況なら、一度今の状態を聞かせてください。何にいくら使えば成立するか、業種ごとに見立てを伝えます。