「LPを作った方がいいですか?」——この質問、けっこうもらいます。ホームページはすでに持っている。でもLP(ランディングページ)は作ったことがない。そもそも何が違うのかよくわからない。そういう方に向けて、今回は判断基準を整理します。
結論から言うと、ホームページは会社全体の信頼を伝える「土台」、LPは1つの商品・サービスに集中して問い合わせや予約を取りに行く「武器」です。役割が違うので、どちらか片方で足りることはほぼありません。Unbounceが2024年に公開した調査では、LPの中央値CVR(コンバージョン率)は6.6%。目的を1つに絞る構造のLPは、一般的なホームページより行動につながりやすい。ただし、LPは作って終わりではなく、広告運用とABテストが前提です。ここで脱落する中小企業が多いのも現実です。
「LPって、ホームページの1ページでしょ?」という誤解
これ、よく聞きます。気持ちはわかるんですが、LPとホームページはそもそも目的が違います。
ホームページは「会社の情報を広く伝えるためのサイト」です。会社概要、サービス一覧、スタッフ紹介、ブログ。いろんなページがあって、いろんな人が見に来る。いわば会社案内のパンフレットです。
一方、LPは「1つの行動を取ってもらうためだけに作るページ」です。問い合わせ、予約、資料請求。ゴールは1つ。ページも基本1枚。余計なリンクもメニューも置きません。こっちはキャンペーンのチラシに近い。
配る目的も、載せる情報も、読む人の状態も違う。ここをごちゃ混ぜにしたまま「どっちを作ればいいですか?」と聞かれても、答えようがないんです。
もう1つ大きな違いがあります。ホームページはいろんなページに移動できる。メニューがあって、サービスページに飛んだり、ブログを読んだりできる。でもLPはそれをわざと封じている。「このページを読んで、このボタンを押す」以外の選択肢を極力なくす。だから成果が出やすいんです。
数字で見るLPとホームページの違い|Unbounce 2024年調査
Unbounceが2024年に公開した調査があります。41,000ページ超、5,700万件のコンバージョンデータを分析したものです。そこで出たLPの中央値CVR(コンバージョン率)は6.6%でした。
業界別では、金融系8.3%、EC系4.2%、イベント・エンタメ系12.3%。業種によって差はありますが、LP全体で見ると「100人来たら6〜7人が行動する」水準です。
一方、ホームページや一般サイトのCVRは、サイト種別や流入経路で大きく変わる。だから単純比較はできません。ただLPは「この人に、この行動をしてもらう」ことだけに設計されている。メニューバーも他ページへのリンクも削る。読む人が迷う余地を減らしてある。目的を1つに絞るぶん、コンバージョンは取りやすい構造です。
じゃあ、ホームページはいらないのか?
いや、そうじゃないです。
LPは「攻め」のツールです。広告やSNSからアクセスを集めて、その場で問い合わせにつなげる。でもLPだけだと、「この会社、ほかにどんなことやってるんだろう」と調べたい人の受け皿がない。
ホームページは「守り」のツールです。会社名で検索した人や、紹介でURLを教えてもらった人が、信頼できる会社かどうか確認する場所。
僕のクライアントでも、LPから問い合わせが来た後に「ホームページも見ました」と言われるケースはけっこうあります。LPで興味を持って、ホームページで信頼を確認する。この2段階の流れがあるんです。
特にBtoB(企業間取引)の場合、この傾向は強い。たとえば鹿児島で外壁塗装の会社をやっていて、LP経由で見積もり依頼が来たとします。そのお客さんは高い確率で「会社名+口コミ」や「会社名+評判」で検索します。そのときにホームページがなかったら、どうなるか。5年前のまま放置されていたら、どうなるか。せっかくの問い合わせが流れてしまうんです。
中小企業はLPとホームページ、どっちを先に作るべきか
「どっちを先に作ればいい?」と聞かれたら、僕の答えはこうです。まずホームページ。それからLP。
理由は2つあります。
1つ目。LPから問い合わせが来ても、ホームページがなければ「この会社大丈夫かな」と不安になる人がいる。受け皿がないまま広告を出すのは、穴の空いたバケツに水を注ぐようなものです。
2つ目。LPは広告とセットで使うのが基本。広告費+LP制作費で、初期投資がけっこうかかります。LP制作費の相場は30万〜60万円。そこに月5万〜10万円の広告費が乗る。準備が整っていない段階で広告を始めると、お金だけ消えます。
ただし例外もあります。すでにホームページがあるけど問い合わせが伸び悩んでいる場合です。このケースなら、特定のサービスに絞ったLPを1本作って、リスティング広告で回してみる価値はあります。月の広告費5万円でも、ちゃんと設計すれば反応は出ます。
たとえば整骨院が「交通事故の治療」に特化したLPを1本作る。ホームページには腰痛も肩こりも産後ケアも全部載っている。でもLPは「交通事故でケガをした方」だけに向けて書く。検索広告で「交通事故 整骨院 鹿児島」と検索した人にだけ表示する。こうすると、見に来る人のニーズとページの内容がピッタリ合う。だから問い合わせ率が跳ね上がります。
LPを作るなら、これだけは知っておいてほしい
LPは「作って終わり」じゃない。ここが盲点です。
公開して1ヶ月後に数字を見る。ファーストビュー(最初に目に入る画面)のキャッチコピーを変えてみる。フォームの入力項目を減らしてみる。ボタンの文言を変える。こうした改善を繰り返すのがLPの運用です。1回のテストで変えるのは1箇所だけ。これをABテストと呼びます。
実際、ファーストビューやCTA文言を変えただけでCVRが1.5〜2倍になったケースは珍しくありません。LPは「育てるもの」です。作った時点では50点でも、改善を重ねれば80点、90点に近づいていく。逆に言えば、最初から100点のLPはほぼ存在しません。
もう1つ。LPはSEOの主戦場には向いていません。ページが1枚しかなくて内部リンクもほぼない。だから検索エンジンで上位を取るのは構造的に不利です。そのぶん、広告・SNS・メールマガジンなど「こちらから人を連れてくる施策」と組み合わせるほうが成果が出ます。検索で見つけてもらいたいなら、それはホームページやブログの仕事です。
ここで脱落する人がけっこういる
正直に言うと、LPを作ってから成果を出せずに止まる人、けっこう多いです。
理由は単純です。LPを作る=ゴールじゃないから。作ったあとに広告運用とABテストが待っている。この2つを自分で回せる人は、体感で2割もいないと思います。
広告運用はそれ自体が別スキルです。Google広告の管理画面は「とりあえず触れる」ものじゃない。キーワード選定、マッチタイプ、入札戦略、除外キーワード、コンバージョン設定。最初の1ヶ月で覚えることが山ほどあります。ここで力尽きる人が多い。
ABテストも同じです。「ファーストビューを変える」と一言で言っても、何を、どう変えるかの仮説が必要です。仮説なしにただ変えても、結果を解釈できない。テスト設計ができないまま触り始めて、数字が動かないから諦める、というパターンが一番多いです。
それに加えて、LPの効果が出るまでには時間がかかります。広告を出してから1〜2週間はデータが貯まらない。データが貯まらないと改善判断もできない。この「数字が動かない期間」に耐えられず、広告を止めてしまう。これも脱落パターンのひとつです。
自分で全部回すのが無理そうなら、LPの立ち上げだけプロに頼む手もある
「LPも広告もABテストも、自分で全部やる自信はない」——この感覚、正しいです。全部は回せない人のほうが普通だと思っておいていい。
そのときに取れる選択肢が、立ち上げだけプロに入ってもらう、という分担です。
具体的にはこうです。LPの設計、原稿、デザイン、広告の初期設定、最初の2〜3週間の運用チューニング。ここまでをプロに任せる。そのあとの日常運用、たとえば月1回の数字チェックや軽微な原稿修正は、自分で回す。
この分担のほうが費用対効果は高いです。月額で丸ごと運用代行に出すと、毎月それなりの金額がかかる。でも立ち上げの山を越えたあとの運用は、正直そこまで頻繁に手を動かす必要がない。「プロが仕込んで、あとは自分で回す」が、中小企業のLP活用としては一番バランスがいいと思っています。
もちろん、広告の入札や配信設計まで本気でやりたいなら運用代行に出す選択肢もある。でも、まず最初の一本を作るなら、立ち上げ単発型で十分です。
今日からできること|アクセス解析の数字を確認しよう
まず、自分のホームページのアクセス解析を見てみてください。Googleアナリティクスが入っていれば、月にどのくらいの人がサイトに来ているかがわかります。そのうち何人が問い合わせページまで到達しているかもわかります。
もしサイトに月500人来ていて問い合わせがゼロなら、ホームページ自体の改善が先です。LPを作る段階じゃありません。
月500人来ていて問い合わせが月1〜2件あるなら、LPで伸ばせる余地がある。その「1〜2件」を「5〜10件」に引き上げるのがLPの仕事です。
アクセス解析の見方がわからなければ、まずGoogleアナリティクスにログインするところから始めてみてください。ログイン情報がわからない場合は、サイトを作ってくれた制作会社に聞けば教えてもらえます。
ホームページは土台、LPは武器
ホームページとLPは役割が違う。ホームページは信頼の土台。LPは成果を取りにいく武器。どちらか片方で十分、ということはほぼありません。
「うちの場合、LPを作る意味あるのかな」「ホームページだけで足りてるのかな」——そう思ったら、今のサイトを見せてください。アクセス状況、問い合わせ数、ターゲット。このあたりを一緒に見て、何から手をつけるべきか整理します。
「LPを作る」と決まっていなくて大丈夫です。作らない判断になることもあります。今の状況を正しく診断するところから始めましょう。
ここも気になるかも|LPとホームページのよくある質問
LPの制作費用、だいたいどのくらいかかる?
制作会社に依頼する場合、相場は30万〜60万円。テンプレートを使えば10万円以下で作れることもあります。ただしその場合、戦略設計や原稿作成は自分でやる前提になります。目的とゴールが明確なら、最初は30万円台で十分スタートできます。
LPを作ったら、広告は絶対に出さないとダメ?
基本的にはそうです。LPは検索で上位に来にくい構造だから、広告やSNSから人を連れてくる仕組みがいる。メルマガのリンク先として使うのも有効です。広告なしでLPだけ置いても、誰の目にも触れない可能性が高いです。
LPはスマホ対応が必須?
必須です。LPはモバイル経由の流入比率が非常に高い傾向があります。媒体や業種によっては、大半がスマホ経由になることもある。制作会社に頼めば標準でスマホ対応してくれるところがほとんどですが、念のため確認しておくと安心です。
ホームページがあればLPはいらない?
用途が違うので、基本は両方必要です。ホームページは会社全体の信頼を伝える場所、LPは1つの商品・サービスで成果を取りに行く場所。ホームページだけで問い合わせが十分来ているなら無理にLPを作る必要はないですが、広告を使って集客したいなら、LPはほぼ必須になります。
この記事は、鹿児島で10年以上にわたってWeb制作・LP制作・Google広告運用を手がけてきたRELATED DESIGN 大山が書いています。地方の個人店・中小企業の集客を、Webと広告とSNSの組み合わせで設計するのが専門です。