「うちの整骨院、腕には自信があるのに新患が増えない」——この悩み、相談に来る先生の中でもかなり多いです。技術は確かなのに、そもそも存在を知られていない。地域の人が「整骨院 ○○市」で検索したときに出てこない。これが一番もったいないパターンです。
今回は、整骨院の集客で「最初に見直すべき場所」について、データと事例をもとに書いていきます。結論から言うと、Googleビジネスプロフィール(以下GBP)は、広告やSNSの前にまず整えるべき”受け皿”です。ここが抜けたまま何をやっても、集客の効果は漏れます。
整骨院の集客、なぜ今キツいのか
全国の柔道整復の施術所は5万か所を超えています。平成20年には3万4,839か所だったのが、約1.5倍にまで膨れ上がりました(厚生労働省 平成20年/厚生労働省 令和6年)。患者さんの数が大きく変わらないまま、院だけが増えている状態です。
2025年上半期の「療術業(鍼灸院・接骨院・マッサージ店など)」の倒産件数は55件。過去20年で最多で、83.6%が売上不振を原因としています(東京商工リサーチ)。
しかも整骨院は、商圏がかなり狭い業種です。自宅や職場の近くで選ばれることがほとんどで、遠方からわざわざ通う患者さんは多くありません。つまり、半径数kmの人に「見つけてもらえるかどうか」が集客の分かれ目になります。
患者さんはどうやって院を選んでいるか
口コミの影響力を示すデータがいくつかあります。
株式会社健生が実施したアンケートでは、接骨院・整骨院を選ぶ基準として「口コミ」を挙げた人が50%で最多でした(ValuePress)。
また、整体院・鍼灸院の利用検討者を対象にした別の調査では、86.9%が口コミを参考にしていると回答。信頼性が高い口コミ媒体としてGoogle Mapsを挙げた人は32.7%でした(@Press/インターリンク調査)。厳密には接骨院・整骨院と整体院・鍼灸院は業種が異なりますが、患者さんの情報収集行動としては近い傾向があると考えられます。
こうしたデータから見えてくる患者さんの行動は、おおむねこうです。「地域名+整骨院」でスマホ検索する → Googleマップに出てきた院をいくつかタップする → 口コミ・写真・情報を見て比較する → 良さそうなところに電話するか経路検索する。
このフローの中で、GBPの情報が薄い院は比較の土俵にすら上がれません。つまりGBPは「集客ツール」というよりも、検索した人が最初に目にする「受け皿」です。ここが整っていないと、広告で人を呼んでも、口コミが増えても、効果が漏れてしまいます。
GBPを軸に経路検索6.5倍になった整骨院の事例
MEO対策の支援会社が公開している整骨院の改善事例があります。GBPを本格的に運用した結果、導入2か月でGoogleマップの経路検索数が6.5倍、電話の着信数が2.3倍、サイトのクリック数が2.2倍に増えたと報告されています(ケイビーカンパニー)。
この事例で実施された施策は、施術メニューの情報整理、営業時間や定休日の正確な登録、投稿機能を使った定期的な情報発信に加え、口コミの依頼と返信、サイテーション(外部サイトでの情報掲載)の強化、NAP情報(名称・住所・電話番号)の統一など、GBP周辺の施策を一通りやっています。
「投稿しただけで伸びた」というシンプルな話ではなく、GBPを中心にした情報整備を総合的に進めた結果です。ただ裏を返せば、やっていることは一つひとつが地味な基本作業。広告費をかけなくても、手間をかければ動かせる領域です。
個人的に注目しているのは、投稿に検索されやすいキーワードを自然に含めている点です。「肩こりに効くストレッチ」「デスクワークで腰が痛くなる原因」のような、患者さんが日頃検索しそうな話題を投稿にしている。GBPの投稿はGoogle検索やGoogleマップにも表示されるため(Google公式ヘルプ)、検索との接点が増える効果が期待できます。
売上3割減から新規集客を回復した整骨院——ただしGBP単独ではない
もうひとつ紹介したい事例があります。売上が30%落ち込んでいた整骨院が、月20名の新規集客を達成し、Web施策全体で月40万件以上のリーチを獲得したケースです(StockSun株式会社)。
ただし、この事例はGBPだけで達成されたものではありません。SEO、リスティング広告、MEO、サイト改善、TikTok運用、CRM運用を組み合わせた総合的なWeb施策の結果です。GBPはその中で「検索した人の受け皿」として重要な役割を果たしていますが、GBP単独の成功事例として扱うのは正確ではありません。
むしろこの事例が示しているのは、GBPを含むWeb上の情報基盤を整えた上で、広告やSNSなどの集客施策を組み合わせると効果が出るということ。GBPは「これだけやればOK」ではなく、「これが整っていないと何をやっても受け止めきれない」という位置づけです。
成果を出している院に共通する3つのこと
複数の事例を見ていくと、GBPで成果に繋げている院にはパターンがあります。
1つ目は、情報の鮮度を保っていること。週に1〜2回は投稿を更新し、施術の豆知識、患者さんの声(許可を得たもの)、院の雰囲気がわかる写真などを発信しています。Google公式は、ビジネス情報を正確かつ充実した状態に保つこと、営業時間の更新、写真の追加などを推奨しています(Google公式ヘルプ)。定期的な投稿はユーザーが院を比較検討する際の判断材料になるため、放置している院との差はここで開きます。
2つ目は、口コミへの返信が個別対応であること。「ありがとうございます。またのご来院をお待ちしております」のようなコピペ返信は、むしろ逆効果になりかねません。「〇〇の症状でお越しいただきありがとうございました。経過はいかがですか」のように、施術内容に触れた返信をしている院は信頼されやすい。口コミへの返信は、書いた本人だけでなく、次に口コミを読む人への「接客」でもあります。
3つ目は、写真のクオリティに手を抜いていないこと。スマホで撮った暗い院内写真だけだと、それだけで候補から外されます。明るく清潔感のある写真を10枚以上、できれば施術の様子やスタッフの表情が伝わるものを載せている院は、比較の段階で有利です。
鹿児島の先生が今日やるべき3つのこと
鹿児島で整骨院をやっている先生が、まず今日から手をつけるべきことを3つ挙げます。
まず、自分の院名でGoogle検索してみてください。GBPが表示されないなら登録がまだ。表示されるなら、営業時間・電話番号・住所が正しいか確認する。これだけで「検索したけど情報が古くて電話しなかった」という取りこぼしがなくなります。
次に、写真を5枚追加してください。院の外観、受付、施術スペース、施術中の雰囲気、スタッフ。スマホで十分ですが、照明は明るくして撮ること。暗い写真は「なんか不安」と思われて離脱されます。
最後に、口コミが1件でもあるなら、今日中に返信してみてください。新しい口コミがなくても、過去のものに今から返信して大丈夫です。「この先生はちゃんと見てくれる人だな」と伝わる返信を1件書くだけで、次に口コミを読む人の印象が変わります。
広告を出す前に、まずこの3つで受け皿を整えてください。受け皿が整っていない状態で広告を打っても、来た人が「ここで大丈夫かな」と不安になって帰ってしまうだけです。
まとめ
GBPは、整骨院の集客における「入口と受け皿」です。無料で使えて、検索した人が最初に目にする場所。ここが整っているかどうかで、広告を打ったとき、口コミが増えたとき、SNSで発信したときの効果がまるで変わってきます。
ただし、GBPだけですべてが解決するわけではありません。事例を見てもわかるように、大きな成果を出している院はGBPを起点にしつつ、広告やSEO、SNSなど複数の施策を組み合わせています。何が必要かは院の状況によって違います。
まずは、Googleマップで自分の院がどう見えているか確認してみてください。「整骨院に通いたいけど、どこがいいかわからない」——そういう人が今この瞬間もスマホで検索しています。その人の画面に、あなたの院がちゃんと映っているかどうか。そこがスタートラインです。
うちの院もGBPを見直したほうがいいかも、でも何から手をつければいいかわからない。そう思ったら、今のGBPの状態を一緒に確認するので気軽に声をかけてください。