「SUUMOやHOME’Sに毎月けっこうな額を払ってるけど、反響がイマイチで……」——不動産会社の方から、この相談をもらう頻度が増えています。ポータルサイトの掲載料は物件1つで月2万円前後。枠を広げれば数十万円。それでも反響ゼロの月がある。この構造に疑問を感じて、自社での集客に切り替えた会社が、実際にどんな成果を出しているのか。調べてみました。
不動産会社の集客、なぜポータル依存になるのか
不動産業界の集客は、長らくポータルサイト頼みでした。SUUMOやHOME’Sに物件を載せておけば、ある程度の問い合わせは来る。ただし、掲載料は固定費。反響がゼロでもお金は出ていきます。
しかも、ポータルサイトの中では他社と横並びになる。同じエリア、同じ価格帯の物件が並んでいれば、ユーザーは「どこの不動産会社か」ではなく「どの物件が安いか」で選びます。つまり、会社の信頼や専門性で差がつきにくい。
もう1つの問題が、一括査定サイトです。売却を検討している人が一度に複数の会社に査定を依頼できる仕組みですが、同時に5〜6社に連絡が行くため、競争が激しい。島根県松江市のある不動産会社では、一括査定サイト経由の問い合わせが月10件あっても、成約率は1割程度だったそうです。年間120件の問い合わせに対して広告費が120万円。1件の成約に12万円かかっていた計算になります。
事例①:自社集客への切り替えで査定依頼を年間80件に(島根県・株式会社サカタ)
島根県松江市の株式会社サカタは、一括査定サイトへの依存から脱却するために自社ホームページを構築し、チラシとの連動も含めた自社集客の仕組みづくりに取り組みました。
軸になったのは、「不動産売却 松江市」のような地域名とニーズを組み合わせたキーワードで検索上位を狙える自社サイトの構築。加えて、チラシからホームページへの導線を設計し、オンラインとオフラインの両面から問い合わせを獲得する体制を整えました。
結果、ホームページ経由の査定依頼が年間70〜80件にまで伸びました。ホームページを作る前は月2〜3件程度だったので、大幅な増加です。しかも、自社集客経由の査定依頼は成約率が約8割。一括査定サイト時代の1割と比べると、質がまるで違います。
僕の見方だと、この差は「自分で調べて選んだ会社」と「一括で送られた5社のうちの1社」の違いから来ています。チラシであれ検索であれ、自分の意思でその会社に連絡してきた人は、その時点で「ここに頼みたい」という気持ちが入っている。だから成約率が高くなる。
ポイントは、これがSEO単独の成果ではなく、ホームページ+チラシの複合施策だということ。ただし、「ポータルや一括査定に頼らず、自社に問い合わせが来る仕組みを作る」という方向性は、次に紹介するSEO特化の事例にもそのまま通じます。
事例②:ブログSEOで19ヶ月でPV13倍に(仙台・ホームセレクト)
仙台市の不動産仲介会社・株式会社ホームセレクトは、コンテンツSEOに本腰を入れて取り組んだ事例です。
最初は別の記事制作会社に依頼していたものの、思うような成果が出なかった。そこでコンテンツマーケティングの専門会社に切り替えて、記事の質を根本から見直しました。
特徴的だったのは、「家を売る理由」として自社で売却したお客さんの声を集計し、実データとして記事に掲載したこと。どこにでもある一般論ではなく、ホームセレクトでしか出せないオリジナルの情報を記事の核にしたんです。
結果、取り組み開始から半年でPVが3倍に伸び、19ヶ月後には月間PVが38,000から501,000に。13倍です。アクセスが増えたことで問い合わせ数も連動して伸び、費用対効果の高い集客が実現しています。
この事例のポイントは「記事の量」ではなく「記事の質」に振り切ったこと。不動産の情報は似たような内容が多いので、自社にしかないデータや経験を盛り込まないと、検索エンジンにも読者にも評価されません。そしてもう1つ、成果が出るまでに19ヶ月かかっているという事実。半年で兆しは出るものの、大きな数字になるまでには1年半以上の積み上げが必要だった。これがブログSEOのリアルな時間軸です。
事例③:売却専門サイト×SEOで反響4倍・粗利3,000万円増
もう1つ紹介したいのが、ある不動産会社が売却に特化したホームページを作り、SEO対策を施した事例です(プロパティフォース社の支援事例として公開されている匿名事例です)。
この会社はもともと仕入れのチャネルを業者回りに頼っていて、一般の売主からの反響は年間で数件しかなかった。一括査定サイトも使っていたものの、成約までの歩留まりが悪く、営業効率に課題を抱えていました。
そこで、売却専門のホームページを新たに制作し、SEOで「地域名+不動産売却」系のキーワードを狙っていった。結果、売主からの直接反響が4倍に増え、粗利が3,000万円増加したとのことです。
売却に特化したサイトを別で作った、というのがミソです。賃貸も売買も全部載っている総合サイトより、「このエリアの不動産売却ならここ」と絞ったほうが、検索エンジンにもユーザーにも刺さりやすい。
成功してる事例に共通するポイント
3つの事例を見て、共通点が浮かびます。
1つ目は「地域名+ニーズ」のキーワードを狙っていること。「不動産売却 松江市」「仙台 不動産 査定」のように、エリアと行動を組み合わせたキーワードは、大手ポータルが強い「不動産」単体のキーワードより競合が少ない。中小の不動産会社が勝てる領域です。
2つ目は、自社にしかないオリジナル情報を出していること。ホームセレクトは自社の売却データ、サカタは地域に密着した査定ノウハウ。どこかから拾ってきた一般論ではなく、「この会社だから出せる情報」がSEOでも信頼構築でも武器になっています。
3つ目は、成果が出るまで続けていること。ブログSEOは即効性がありません。サカタもホームセレクトも、半年〜1年以上は地道にコンテンツを積み上げている。ホームセレクトの事例では、大きな成果が出るまでに19ヶ月かかっています。逆に言えば、積み上げた記事は広告と違って止めても消えない。資産になります。
鹿児島の不動産会社で応用するなら
じゃあ、鹿児島でやるとしたら何から手をつけるか。
まず、「鹿児島市 不動産売却」「鹿児島 土地 査定」のように、地域名と具体的なニーズを組み合わせたキーワードで自社サイトのブログを書き始めること。大手ポータルが「不動産売却」のビッグキーワードを押さえていても、「鹿児島市 〇〇町 土地売却」のようなロングテールなら勝負できます。
記事のテーマは、自分が日々お客さんから聞かれることをそのまま使うのが一番手っ取り早い。「鹿児島の相続した土地、売るのと持っておくのどっちがいい?」「霧島市の中古住宅、リフォームしてから売ったほうが高く売れる?」——こういう質問にブログで答えていく。
大事なのは、最初から完璧を目指さないこと。まずは月2〜4本でいい。半年続けると、検索からの流入がじわじわ増え始めます。実際にクライアントでも、3ヶ月目くらいまでは「本当に効果あるんですか?」と不安になる方がほとんどですが、6ヶ月を超えたあたりから数字が動き出すケースが多いです。ただし、ホームセレクトの事例が示すように、目に見えるインパクトが出るまでには1年以上かかることも覚悟しておく必要があります。
あと、Googleビジネスプロフィール(GBP)との連携も忘れずに。ブログで書いた内容をGBPの投稿にも転用すると、地図検索からの流入も取れます。ブログとGBP、この2つを並行して育てていくのが、地方の不動産会社にとって一番現実的な自社集客の形です。
まとめ
不動産会社の集客で一番効くのは、結局「自社サイトに、地域の人が知りたい情報を積み上げること」。ポータルサイトの掲載料は毎月消えますが、ブログ記事は残り続けます。成果が出るまで半年〜1年以上はかかる。けれど、その先にはポータルに頼らず問い合わせが来る状態が待っています。
SUUMOやHOME’Sの掲載料がきついと感じていたら、いきなり全部やめる必要はありません。まずはブログを月2本から始めて、半年後に数字を見てみてください。その頃にはポータルの比率を下げる判断ができるはずです。
ホームページはあるけど問い合わせにつながっていない、ポータルの広告費をどうにかしたい——そんな状況なら、一度ご相談ください。サイトの現状を見て、何が足りないか一緒に整理します。