「ホームページは作ってあるけど、Webから患者さんが来ている感じがしない」——耳鼻咽喉科の先生からこの相談、けっこうあります。広告は派手に打てない、口コミだけでは頭打ち、何をすればいいのか見えない。今回は、耳鼻咽喉科がブログSEOで検索流入を伸ばした事例を調べた上で、共通点と鹿児島で応用するならどうするかをまとめました。
耳鼻咽喉科の集客、何が難しいのか
耳鼻咽喉科の集客には、他の診療科と違う癖があります。ひとつは、医療広告ガイドラインの縛りが強くて、広告で派手に打ち出せないこと。もうひとつは、急性症状(中耳炎、副鼻腔炎、花粉症)で「今すぐ近くの病院を探したい」というニーズが大半だということ。
つまり患者さんは、普段から先生のことを覚えているわけじゃなくて、症状が出たその瞬間に検索するんです。「中耳炎 痛い 何科」「鼻づまり 治らない 鹿児島」みたいに。ここで検索結果に出てこないと、そもそも候補にすら入りません。
ポータルに頼ろうにも、耳鼻咽喉科は美容や歯科に比べて使えるポータルが少ない。だから自前のサイトとブログで戦うしかないんです。
季節で検索の「波」が大きい業種は、SEOと相性がいい
ここがかなり重要なポイントです。耳鼻咽喉科は、検索ボリュームの季節変動がはっきりしている診療科なんです。
たとえば「花粉症」というキーワード。一般的に、検索の傾向としては2月から急に伸びて、3月にピーク、4月に入ると一気に落ちます。花粉症で困っている人は、本当に多いです。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会によると、日本人のアレルギー性鼻炎の有病率は49%、花粉症は39%とされていて、この20年で花粉症は約2.5倍に増えています。よく「2人に1人」と言われる48.8%という数字もありますが、これは東京都調査における都内のスギ花粉症の推定有病率なので、全国の数字とは分けて見てください。
中耳炎、副鼻腔炎、いびき、補聴器、ものもらい——どれも「いつ検索されるか」がある程度読めます。これは普通のクリニックにはない武器です。
僕の見方だと、耳鼻咽喉科でSEOがうまくいっていない先生のほとんどは、この季節性をスケジュールに落とし込めていません。記事の更新が思いついたときベースになっていて、検索ピークと噛み合っていない。だから流入が伸びないんです。
流入を伸ばしたクリニックがやっていること
参考になるのは、公開されているクリニックSEOの支援事例です。これを見ると、1年でPVが約2倍・訪問者数が約3倍になったケースや、クリック数が6.2倍・PVが5.6倍になったケースがあります。いずれも支援会社が自社で公開している事例なので、第三者が検証した数字ではありませんが、傾向としては参考になります。
やったことを噛み砕くと、「症状名のキーワードに沿ったブログ記事を、患者目線の言葉で、定期的に出した」だけ。「検索される疑問に、医師が答える記事を継続的に出す」というシンプルな運用です。
耳鼻咽喉科そのものの例では、新潟・新発田の富田耳鼻科のように、YouTubeで花粉症や耳鳴りの解説動画を継続して出しているケースがあります。動画とブログの違いはありますが、「症状で困った人が検索する言葉」に答えるコンテンツを積み上げる、という考え方は共通しています。媒体が動画でも記事でも、やっていることの本質は変わりません。
うまくいっている事例に共通する3つのポイント
いくつかの事例を見比べて、共通しているのは3つあります。
ひとつは、症状ベースのキーワードで書いていること。「副鼻腔炎の治療法」「子どもの中耳炎の見分け方」「花粉症の初期療法って何?」など、患者さんが実際に検索する言葉を見出しに使っています。「当院の特徴」みたいな自分起点の記事ではないんです。
ふたつめは、季節を逆算して仕込んでいること。花粉症の検索が伸びるのは2月ごろから。だから記事は12月や1月に出して、Googleにインデックスさせておく。出した瞬間に1位になることはまずないので、ピークの2〜3ヶ月前から準備が要ります。
みっつめは、記事の最後に必ず「次のアクション」が置いてあること。電話番号、Web予約ボタン、地図、診療時間。読み物で終わらせず、その場で予約までつなげる導線になっています。
僕がクライアントにいつも言っているのは、Webは受け皿だということ。記事で人を呼んでも、予約導線がなければ素通りされます。記事の質と同じくらい、最後の3行が効くんです。
書く前に知っておきたい、医療広告ガイドラインの線引き
ここでひとつ注意したいのが、医療広告ガイドラインです。ウェブサイトも規制の対象になります。症状の解説や受診の目安、一般的な検査・治療の考え方を患者さん向けにわかりやすく伝えるのは有効ですが、「必ず治る」「県内No.1」「患者さんの声で効果を証明」のような表現は避ける必要があります。比較して優れていると見せる表現、患者さんの体験談、根拠なく効果を断定する表現は、特に気をつけてみてください。
ブログSEOで効くのは、強い言い切りではなくて、正確で信頼できる説明を積み上げることです。むしろ医療では、慎重で誠実な書き方のほうが患者さんに刺さります。
鹿児島の耳鼻咽喉科で応用するなら
鹿児島の中小クリニックが、いきなり月10本記事を出すのは現実的じゃないです。先生は診療があるし、ライターを雇うほどの予算もない。じゃあどうするか。
僕が勧める順番はこうです。
まず、季節カレンダーを1枚作ること。1月=花粉症の初期療法、2〜3月=花粉症本格化、5〜6月=子どもの耳トラブル相談(中耳炎・耳の痛み・聞こえづらさ・プール前後の相談)、9月=秋の花粉、12月=扁桃炎・インフル合併症。こういう形で、どの月にどの症状が検索されやすいかを並べておきます。
花粉の時期について補足しておくと、鹿児島を含む九州ではスギ花粉の飛散開始が関東よりやや早めになる年もありますが、飛散時期は年によって変動します。固定の日付で考えるより、その年の花粉予測を見ながら1〜2か月前に記事を仕込む、という運用のほうが現実的です。
次に、ピーク前2ヶ月のタイミングで、1本でいいからその季節の症状記事を出す。文字数の目標を立てるより、患者さんが実際に知りたい疑問にちゃんと答えているかが大事です。目安としては、症状・受診の目安・治療の考え方・予約導線までひと通り入る分量にする、くらいで十分です。患者さんがよく聞く質問を、そのまま見出しに使ってみてください。書いたら必ずWeb予約ボタンと電話番号を末尾に置く。
最後に、Googleビジネスプロフィールの投稿欄で、ブログ更新と同じネタを短く出しておく。これが直接の順位要因とまで言い切ることはできませんが、検索結果やGoogleマップ上で最新情報を見せられるので、比較検討中の患者さんの後押しにはなります。
地味ですが、3年続けたクリニックと続けなかったクリニックでは、検索流入に明確な差が出ます。広告と違ってストックされる資産になるのが、ブログSEOの一番の強みです。
成果が出る医院と出ない医院の差は「計測」にある
もうひとつ大事なのは、記事を出して終わりにしないことです。見るべき数字はシンプルで、Search Consoleの表示回数・クリック数・掲載順位、ブログから予約ページへの遷移数、そして実際のWeb予約件数。この3つだけ追えば十分です。
読まれていないのか、読まれているのに予約されていないのかで、打つ手はまったく変わります。表示回数が少ないなら記事やキーワードの問題、表示はあるのにクリックされないならタイトルの問題、読まれているのに予約が増えないなら導線の問題。SEOは記事を作るだけじゃなくて、計測と改善まで含めて、はじめて集客になるんです。
信頼性を上げるには「誰が書いたか」を見せる
医療系のブログは、内容そのものだけじゃなくて、「誰が書いたか」の見せ方でも差が出ます。Googleも、信頼できるコンテンツを評価する観点としてE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を案内していて、医療のようなYMYL(お金や健康など人生に関わる領域)では、誰が作ったか・なぜ信頼できるかが特に重要になります。
記事末尾に監修医師名、専門分野、更新日、参考にした公的機関や学会の情報を添えるだけでも、患者さんの安心感は変わります。SEOのために書くというより、安心して予約してもらうための最低限の整備、と考えてみてください。
まとめ
耳鼻咽喉科で検索流入を伸ばすコツは、「季節を読んで、症状の言葉で書く」。これに尽きます。派手な施策はいりません。やるかやらないかで差が開く話です。
ホームページはあるけど検索からの予約が増えない、という耳鼻咽喉科の先生は、まず今のサイトを見せてください。記事の中身より、季節カレンダーと予約導線を整えるだけで結果が変わるケース、けっこうあります。
ここも気になるかも
ブログ記事は月に何本出せばいいですか?
月1本でも続ければ十分です。理想は月2〜4本。ただし「数より季節」。ピーク前2ヶ月の段階で、その季節の症状記事が公開済みになっていれば、本数が少なくても流入は伸びます。逆にピークの真っ最中に出しても、検索に間に合いません。
記事は先生が書くべき?外注に任せていい?
専門知識のある先生本人が書いた記事は、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の観点で圧倒的に強いです。ただし時間が取れないなら、ライターに下書きを作らせて先生が監修・加筆する形がベター。完全外注で先生のチェックなし、というのは医療コンテンツでは危険です。誤情報のリスクと検索評価の両方で損します。
ブログを始めて何ヶ月で成果が出ますか?
あくまで目安ですが、検索流入が伸び始めるのは早くて3ヶ月くらい、本格的に増えてくるのは6〜12ヶ月後くらいです。広告のような即効性はありません。だからこそ、競合が手をつけていない地方クリニックほど、早く始めるほど先行者利益が取れます。