「チラシを撒いても問い合わせが来ない。インスタは始めてるけど、これで本当に家が売れるんだろうか」——工務店の方から、この相談がけっこう増えています。
住宅を検討する人が、どこで情報を集めているか。ここ数年で、その入口がずいぶん変わりました。今回は、工務店がInstagramの施工事例投稿で資料請求や反響を増やしている事例を調べて、鹿児島の中小工務店で応用するならどう動くか、整理してみます。
先に結論です。工務店のInstagramで効くのは、フォロワー数ではありません。世界観をそろえた投稿で興味をつくり、見学会や資料請求へつなぐ導線を設計する。この2つがそろって、はじめて反響になります。エコワークスやなんば建築工房の事例を見ても、やっていることの本質はここです。
そもそも、なぜ今Instagramなのか
まず数字から見てみます。And Doホールディングス(ハウスドゥ)が2024年5月に公表した調査(2024年2月実施)では、自宅を購入した人のうち24.7%、およそ4人に1人が、Instagramで知識や情報を集めていました。順位でいうと全体の3位です。1位はネット検索、2位は知人・友人の口コミ。ただ、XやYouTubeよりは上でした。
注文住宅にしぼった調査もあります。ゼロシード社が、2020年2月以降に注文住宅を購入した方674名に聞いた調査では、約68%がInstagramを情報収集に使っていました。これは購入した人への振り返りアンケートで、コロナ禍以降の情報の集め方の変化を映した数字です。スタジオアンビルトが2024年9月に出した調査でも、20〜30代の36%が、工務店探しで「SNSが最も役に立った」と答えています。ただ、この調査はSNSに前向きな層(madree会員やInstagramのフォロワー)が対象なので、数字は少し高めに出ている点は割り引いて見てください。
ここから言えるのは、Google検索に加えて、Instagramも住宅検討の有力な入口になっている、ということです。「平屋 25坪 鹿児島」みたいな言葉を、検索エンジンではなくインスタの検索窓で打ち込む人が、もう普通にいます。この動きを無視するのは、けっこう怖いんです。
住宅は、写真と空気感で選ばれる商品です。間取り図やスペックより、「この家の雰囲気が好き」が先に来る。インスタは画像と動画で、その世界観を直接見せられます。業種としての相性がいい。これが前提になります。
ただ、Instagramだけで家は売れません
ここで大事な話をします。Instagramだけで家が売れるわけではない、ということです。
2025年に住宅会社へ行われた調査では、新規顧客向けの施策として「定期的なイベントの実施」と「SNS運用強化」が、どちらも68.8%で最多でした。効果を感じた媒体でも、「SNS投稿(オーガニック)」は46.9%です。つまり、SNS単体で勝つというより、インスタで世界観を伝え、見学会や相談会で信頼をつくり、最後にHPで資料請求に変える。この流れまで設計して、はじめて反響になります。
鹿児島の工務店が見るべきなのは、フォロワー数より、この導線全体がつながっているかどうかです。ここを押さえたうえで、事例を見ていきます。
事例①:福岡・博多のエコワークスに学ぶ「世界観の統一」
工務店アカウントの代表格として、よく名前が挙がるのが福岡・博多の「エコワークス」です。木の家専門店で、Instagramのフォロワーは2026年7月時点で約39万人。中小工務店としては桁違いの数字ですよね。
このアカウント、何が違うのか。投稿一覧をパッと見たときの世界観です。グリッドの1枚目がほとんど内観写真でそろっていて、テイストもぶれない。「木の家」というコンセプトが、プロフィールを開いた瞬間に伝わる作りになっています。
もうひとつ、施工写真に吹き出しや一言のテキストを入れる工夫もしています。ただの写真集ではなく、「ここに注目」「この素材はこういう理由で選んだ」という読み物の要素を足している。住宅検討者は「この家がなぜいいのか」を知りたいので、写真だけより、写真+一言の解説のほうが保存されやすいんです。
僕の見方だと、エコワークスのフォロワー数そのものは、地方の工務店が追いかける必要はありません。まねしたいのは「世界観の統一」と「写真+テキスト」のフォーマットのほう。これなら、予算がなくても今日から始められます。
事例②:岡山・なんば建築工房の目的別アカウント運用
もう一つ、規模感が参考になる事例です。岡山県倉敷市の「なんば建築工房」。明治20年創業の、地域密着の工務店です。メインのInstagramアカウントは、2026年7月時点で約1.4万フォロワー。エコワークスと比べると、一気に現実的な数字になります。
このアカウントで面白いのは、目的別に導線を分けている点です。公式サイトでも、資料請求・Instagram・見学会・モデルハウス見学の入口が分かれていますし、投稿からは資料請求用(@nkk_request)やイベント用(@nkk_event)への振り分けも確認できます。目的別アカウントや導線の分岐を、以前から取り入れてきた形跡があります。
たとえば施工事例を見て「お、ここの家いいな」となった人が、次にやるのは「資料請求はどこ?」「見学会あるかな」の確認です。そのときメインアカウントしかないと、過去投稿を遡って情報を探すことになる。目的別の入口が用意されていれば、迷わずそっちへ飛んでもらえます。
導線が短いほど、離脱は減ります。これはWeb全般の鉄則ですが、インスタでも同じです。
成功してる工務店アカウントの共通点
調べていて、成果が出ているアカウントには、共通点が3つありました。
1. フォロワー数より「保存」を見ている
「いいね」より「保存」を重く見ているアカウントが多いです。保存されるということは、「あとで見返したい」「家族と相談したい」と思われたということ。検討の温度が高い反応なんです。実務では、保存数÷リーチ数で出す「保存率」を目安にする人もいて、2〜3%あればいい投稿、という声はよく聞きます。ただ、これはInstagram公式の基準ではありません。公式が説明しているのは、おすすめには、いいね・コメント・シェア・保存など複数のシグナルが使われる、ということ。保存だけで決まるわけではないので、そこは冷静に見てください。
2. 投稿の種類を意識して分けている
うまいアカウントは「施工事例」「家づくりの知識(断熱・補助金・坪単価など)」「会社や職人の雰囲気」「フォロワーとのやりとり(質問への回答など)」を回しています。施工事例ばかりだと飽きられるし、知識発信ばかりだと冷たい印象になる。バランスなんです。
3. プロフィールから資料請求までの導線ができている
これが意外と抜けているアカウント、多いんです。フォロワーは集まっているのに、プロフィールのリンクが会社トップページにしか飛ばない。そこから資料請求ボタンまで3クリック必要、みたいな状態。これだと反響は出ません。
プロフィールのリンクは資料請求LPへ直接、ストーリーズのハイライトに「資料請求はこちら」「見学会予約」を常設、投稿の最後に「プロフィールのリンクから資料請求できます」の一言を必ず添える。地味ですが、ここが反響数を大きく動かします。
今のInstagramで外せない、投稿以前の基本設定
もうひとつ、見落としやすいのが、投稿以前のアカウント設定です。
Instagramは、公開アカウントでないと非フォロワーへおすすめされにくいです。アカウントステータスによっては、発見欄やリールでの露出も落ちます。さらに、検索で見つけてもらうには、ハッシュタグだけでなく、プロフィール名・自己紹介・キャプションにも、地域や住宅種別のキーワードを入れる必要があります。
鹿児島の工務店なら、「鹿児島」「平屋」「注文住宅」「自然素材」といった言葉は、ハッシュタグだけでなくプロフィールにも書いておいたほうが届きやすい。あわせて、他所から持ってきた透かし入りの動画は、おすすめに乗りにくいので避けてください。投稿の中身を磨く前に、まずこの土台を整えるだけでも、届き方が変わります。
鹿児島の工務店でInstagram集客を応用するなら
じゃあ、鹿児島で実際にやるなら何から手をつけるか。順番に書きます。
① まず投稿の「世界観」を1日かけて作る
写真のトーン(明るめ/落ち着いた色味/木の質感を強調など)を決めて、1枚目のサムネに使うフォーマットを2〜3パターン用意する。Canvaで十分です。投稿の見た目がバラバラだと、プロフィールを開いた瞬間に素人っぽさが出て離脱されます。逆にここが整っていると、それだけで信頼感が出るんです。
② 地域と住宅種別のキーワードを、あちこちに入れる
「#注文住宅」「#家づくり」みたいな大きいタグだけだと、東京・大阪の投稿に埋もれます。「#鹿児島注文住宅」「#鹿児島工務店」「#霧島市新築」「#平屋鹿児島」のような、地域名込みのタグを必ず混ぜる。ハッシュタグの個数を細かく気にするより、地域名と住宅種別の言葉を、プロフィール・自己紹介・キャプションにも散らしておくほうが効きます。鹿児島で家を建てたい人に、ちゃんと届く設計にしてみてください。
③ リールで施工事例を見せる
リールはフォロワー以外にも届きやすいので、認知を広げるのに強いです。完成した家の中を、スマホで歩きながら撮るだけでも成立します。何秒にするかより大事なのは、最初の3秒で「いい家だな」と思わせること。あとは縦長で、画質を落とさず、透かしの入っていない自前の映像にする。3分以内なら、非フォロワーへのおすすめ対象にもなります。
④ 投稿ペースは、まず週2〜3本
毎日投稿は、中小工務店だと続きません。週2〜3本、月10本前後を1年続けるほうが現実的です。ペースが落ちて止まるより、続くペースを選ぶ。
⑤ HP側の受け皿を先に確認する
ここが大事です。インスタで興味を持ってくれた人が、最終的に飛ぶのはHP。HP側の受け皿(資料請求フォーム、見学会予約フォーム、施工事例ページ)が弱いと、ここまでの努力が全部消えます。インスタを始める前に、まずHPを見直したほうがいいケースも、けっこうあるんです。
「反応がない」ときに見る3つの場所
「インスタを始めたけど反応がない」というとき、原因をひとまとめにしないほうがいいです。見る場所は、3つしかありません。
そもそも非フォロワーに届いていないのか。届いているのに、プロフィールで離脱しているのか。プロフィールまでは来ているのに、HPの資料請求フォームで落ちているのか。この3つです。
InstagramのInsightsでは、フォロワーと非フォロワーの到達を分けて確認できます。鹿児島の工務店なら、まず「商圏の外にばかり届いていないか」「プロフィールから資料請求までの導線が短いか」を見るだけでも、次に直す場所がはっきりします。反応がないのを「投稿がよくないから」で片づけず、どの段で落ちているかを分けて見てみてください。
まとめ
工務店のインスタで一番大事なのは、フォロワー数ではなく、「商圏の中で何人が保存して、何人が資料請求まで進んでくれるか」です。エコワークスを目指す必要はありません。世界観の統一、導線設計、地域キーワード。この3つは、規模に関係なく今日から始められます。
そして大前提として、インスタは「届ける仕組み」のひとつでしかありません。受け皿のHPと、見学会や資料請求への導線が整っていないと、フォロワーが増えても問い合わせには変わらない。順番を間違えないことです。
鹿児島で工務店を経営していて、「インスタは始めたけど反応がない」「そもそも何を投稿すればいいかわからない」という状況なら、まず今のアカウントとHPの両方を見せてください。投稿の問題なのか、導線の問題なのか、HP側の問題なのか。分けて整理すれば、次にやることは見えてきます。
気になるところ、まとめて答えます
ハッシュタグは1投稿に何個つけるのが正解?
個数そのものは、そこまで神経質にならなくていいです。Instagramは1つのコメントに30個を超えるハッシュタグは入れられませんが、大事なのは数より中身。ビッグ(#家づくり など)・ミドル(#平屋暮らし など)・スモール(#鹿児島工務店 など)をバランスよく混ぜて、地域名入りのタグを必ず入れる。あわせて、「鹿児島」「平屋」「注文住宅」といった言葉を、プロフィールやキャプションにも書いておいてください。鹿児島で家を検討している人に届くのは、結局そこです。
写真はプロのカメラマンに頼まないとダメ?
最初からプロに頼む必要はありません。近年のスマホなら、日常の投稿には十分な画質です。ただ、完成した家の引き渡し前など、ここぞというタイミングでは、プロに撮ってもらった写真があったほうがいい。日常の投稿はスマホ、年に数件のフラッグシップ事例はプロ、という使い分けが現実的です。
投稿頻度はどれくらいが理想?
理想は週3〜5本ですが、続かないなら週1〜2本でも構いません。インスタは、継続して投稿しているアカウントを優遇します。だから、頻度より継続のほうが効くんです。毎日投稿して2ヶ月で力尽きるより、週2本を1年続けたほうが結果につながります。